アニメ『ギヴン』

キヅナツキ原作によるBLコミック『ギヴン』のアニメ映画の最新作となる『映画 ギヴン 海へ』が9月20日(金)に公開。FODでは現在、FODオリジナルの実写ドラマのほか、TVアニメシリーズ、『映画 ギヴン』、『ギヴン うらがわの存在』、『映画 ギヴン 柊mix』(レンタル)がラインナップされている。そこで今回は、映画最新作の前に見るとより『ギヴン』の世界が深く楽しめるTVアニメシリーズを紹介したい。 【写真】印象的な歌声を持つヴォーカルの佐藤真冬 『ギヴン』は2013年に原作コミックが連載開始され、2019年にはアニメシリーズ化されてテレビ放送された。そして、2020年には初の映画化、2021年には実写ドラマ化、舞台化もされ、メディアミックス展開されている大人気シリーズだ。今回紹介するアニメシリーズはフジテレビの人気アニメ枠“ノイタミナ”で初となるBLコミックのアニメ化作品でもある。 ■BL×バンドの青春ストーリーが面白い！ 物語は、高校生にして優れたギターの腕前を持つ上ノ山立夏が、壊れたギターを抱えた同級生の佐藤真冬に出会うことから始まる。ギターを修理したことで真冬に懐かれてギターを教えることとなり、立夏はバンドメンバーの秋彦と春樹に真冬を紹介する。ある日、ひょんなことで真冬の歌を聞いた立夏は、その歌声に衝撃を受けて魅せられてしまう。 同シリーズはBL部分とバンドとしての物語がうまく絡み合って繰り広げられていく青春ストーリー。“壊れたギターを抱えた内向的な男子”というだけでなにやらドラマチックな香りがするように、真冬によって物語は突き動かされていく。 以前ほど音楽に熱いものを感じられなくなっていた立夏だったが、真冬にギターを教えることによって自分自身も活性化されて、音楽への情熱を取り戻すように。真冬本人は玄人好みのするギターを持っているもののなぜかギターも音楽も初心者だったが、着実に技術を上げていく。スポーツものに多いが、経験値ゼロのキャラクターがその世界を知ることから始まり、腕をあげていく様子はシンプルにワクワクとさせられるというものだ。 さらに真冬はギターだけでなく、ボーカルとしての才能も自覚がないまま内に秘めていた。その才能に触れた立夏は真冬の歌声を聞いて稲妻に打たれたように感銘を受けて引き込まれ、真冬自身に惹きつけられる。 ■原作にはない“音楽”を加えたアニメならではの演出に注目！ そして、真冬の壊れたギター。誰のものだったのか、なぜ真冬が持っているのか、そこには真冬の大きなトラウマが隠されている。普段、表情に乏しく口数も多くない真冬が実は心に傷を持ち、巨大感情を抱えていたことを思うと見ている方も苦しくて胸が張り裂けそうになってしまう。そんな、あまりにも大きな過去の傷を感情として吐き出すこともできないでいた真冬だったが、ライブのステージで歌うことに。 果たして真冬は歌うことができるのか、それとも歌えずにライブは失敗してしまうのか。真冬と立夏の恋の行方は？　立夏はこの恋をどうしたいのか、真冬は立夏のことをどう思っているのか。トラウマを乗り越えて真冬は恋も歌も踏み出していくことができるのだろうか。 恋と音楽、そしてバンドの成長ストーリーとしても加速していく同シリーズは、吸引力を持っていて一度見出すと止まらない。とくにライブシーンは必見だ。原作にはない音楽が加わったアニメならではの 演出によって、原作とはまた違った感動が味わえて鳥肌が立つことだろう。 切なくドラマチックな作品が好きな方にはぜひ見てみて欲しい。同シリーズが気に入った方は新作劇場版にも足を運んでみてはいかがだろう。 構成・文＝牧島史佳