シンガポールのファンド、NCHLDやコスモス電に増配を要求-書簡
(ブルームバーグ): シンガポールに拠点を置くスイスアジア・フィナンシャル・サービシズの運営するファンドが、日本のコンベヤー・立体駐車場装置メーカーであるNCホールディングスと可変抵抗器メーカーの東京コスモス電機に対し、増配などを求める株主提案書を送ったことが分かった。
スイスアジアがエンゲージメント(対話)を通じて企業価値の向上を目指すファンド「Global ESG Strategy」は23日までに、NCHLDに1株当たり161円の配当、コスモス電に同571円の配当などを求める株主提案書を送付した。提案には定款の一部変更も含まれ、3%以上の議決権を有する株主から要請があった場合は20営業日以内に個別面談に応じることも求めた。ブルームバーグが書簡を入手し、確認した。
NCHLDを巡っては、物言う株主(アクティビスト)として知られる英アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)から社外取締役候補などの株主提案を受けた昨年6月の株主総会で、2023年3月期の配当を65円に増やす提案が可決された経緯がある。24年3月期の年間配当計画は未定としていた。
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一方、コスモス電の24年3月期配当は95円と、前の期の60円から増やす計画だった。2日に配当政策の基本方針の変更を発表し、第2次中期経営計画の期間(24-26年度)中は株主資本配当率(DOE)3.5%を目標に、段階的に増配を目指すことを決めた。
ブルームバーグのデータや大量保有報告書によると、スイスアジアは今年1月にNCHLD株を5%以上取得したことが判明。直近の株主構成比率を見ると、米ミリ・キャピタル・マネジメントの約24%、英AVIの約22%に続きスイスアジアは5.08%となっている。コスモス電は2月に、スイスアジアが筆頭株主になったと発表。直近の保有比率は約11%だ。
ブルームバーグはNCHLDとコスモス電にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。スイスアジアの門田泰人最高投資責任者(CIO)は両社を含む日本企業3社と継続的にエンゲージメントを行っていることを明らかにした上で、「提案は出したが、今後も会社と対話を続けていく。われわれの提案を会社提案してもらえれば、歓迎だ」と述べた。
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Yasutaka Tamura