"スポーツ"じゃなくても新型スイフトの走りはスポーティ!? しかも高速も後席も快適だった! スズキの世界戦略車はオールラウンダーだ!
"スポーツ"の影を払拭するデザインライン
『ジャパンモビリティショー2023』ではコンセプトモデルと銘打ちながらも、ほぼほぼ市販車としてそのデザインとスペックをお披露目し、様々な話題を呼んだ新型スイフト。Bセグメントのコンパクトカーとしては先代モデルの面影を目元やグリルに残しながらも、そのディティールはクラムシェルタイプのボンネットを基軸に大胆なラウンドデザインを打ち出して、グラマラスだったその印象を、シャープに引き締めた。 【画像】新型スイフトの走りは!? こうしたデザインの変遷について開発陣は、先代モデルで取り逃がしたユーザーの獲得を語った。スイフトスポーツの影響も強かったのだろうスイフトは「走り好きなユーザーが買うクルマでしょ?」と、敬遠されるケースが少なからずあったのだという。 それはスバルのレヴォーグが、「レイバック」を派生させた理由にも似ている。気合いが入りすぎたルックスやインテリアを、いまいちど洗練させたというわけだ。
そのデザインの方向性に反して走りはスポーティ
ということで見た目を改めた新型スイフトを試乗したわけだが、これが予想に反してかなりスポーティな乗り味になっていたのには、ちょっと驚いた。 試乗車は、マイルドハイブリッドモデルの上級グレードとなる「HYBRID MZ」。パワーユニットは1.2L直列3気筒ターボ(82PS/108Nm)に直流モーター(3.1PS/60Nm)の組み合わせで、トランスミッションは今回CVTだったが、ハイブリッド「MX」(FWD)には5速MTも用意される。また試乗車の駆動方式はFWDだったが、フルタイム4WDも全グレードで選択可能だ(5速MT+4WDのみ設定なし)。 乗り心地は、走り出しからシャッキリと硬めだ。 硬さの主軸となるのはエコタイヤ(ブリヂストン「エコピアEP150」)の縦バネだが、サスペンションもこの剛性にトーンを合わせて、トータルでメリハリを出していた。 また車重も950kgと軽いからか、タウンスピードでも荒れた路面である程度のハーシュネスを許す。 しかしその一方で、タイヤは良く転がる。ちなみにその燃費性能は先代から3.1km/Lアップした、24.5km/Lとなった(WLTC値総合)。 新開発となった1.2L 3気筒エンジンの評価は、開発陣が最も気にする部分だろう。しかし結論から言えば、筆者はそこにネガティブを感じなかった。 マイルドハイブリッドゆえにコールドスタートでは、まずエンジンが“ブルン”と掛かる。しかし車体の遮音性の高さと、エンジン自体の振動の少なさから、走り出してしまえば車内は普通に静かだ。Bセグメント車のストロングハイブリットは起動時こそ無音だが、モーターのみで走れる時間はほんの僅か。だから、そこに大差はないと思えた。 街中では割とモーターが多めに活躍し、ふとした加速でも素早くトルクを補ってくれる。感心したのはこのモーターとCVTの協調制御で、アクセルの踏み込み量に対して加速感がずれがないこと。CVT特有のラバーバンドフィールは感じなかった。 アクセルを閉じると回転が落ちて、スーッとコースト(滑走)。再びアクセルを踏んでも、トルクが瞬時に追従してくれた。 カーブが続く場面でのハンドリングは、まさに適度なキビキビ感。 ブラシレスモーターとなった電動パワステの感触もナチュラルで、ハンドルを切った通りに、素直に曲がって行く。 曲率が高いコーナーではブレーキで少しフロント荷重を乗せて行かないと応答が遅れるけれど、それこそがダンパー減衰力を高め過ぎていない証拠だ。むしろそうやって操作する運転は対話のようで楽しいし、タイヤをしっとりした銘柄に変えたら、もっと乗り心地が良くなるだろうと予測できた。