「令和のベルばら」3つの注目ポイント、彩風咲奈サヨナラショーつき宝塚大劇場千秋楽
8月11日、宝塚グランドロマン「『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』~池田理代子原作『ベルサイユのばら』より~」が「宝塚大劇場」(宝塚市)での千秋楽を迎える。 チケット発売日に全48公演が即完売となったこの公演。チケットが手に入らず、悔しい思いをした人もご安心を。宝塚大劇場での千秋楽の模様は8月11日昼1時から、全国各地の映画館でのライブ・ビューイングと、各配信プラットフォームでのライブ配信があるので、公演を楽しむチャンスが残されている。「ライブ中継…万歳…!」 ■ 「ベルばら」と宝塚歌劇が歩んできた50年 『ベルサイユのばら』は池田理代子氏大ヒット漫画が原作。宝塚での舞台化は1974年の初演以来、累計観客動員数500万人を超える宝塚歌劇最大のヒット作。再演を繰り返し、歴代スターが後々語り継がれる舞台を繰り広げてきた。 初演から50周年を迎える2024年には東京、大阪、愛知で『ベルサイユのばら50~半世紀の軌跡~』として過去作品の出演者が日替わりでステージを務める夢のようなスペシャルイベントが開催され、宝塚ファンの多くが「ベルばらモード」に。 そんな中、本公演で退団するトップスター彩風咲奈を中心とした雪組で、フェルゼンとマリー・アントワネットの2人を軸にしたストーリーを上演。10年振りに宝塚大劇場の舞台に「ベルばら」が甦った。 「ご覧なさい、ご覧なさい♪」と小公女、小公子が劇中で歌い踊るプロローグは今回も変わらない。しかし過去作の名シーンは踏襲しつつ、展開がスピーディーかつショーアップされ、演出に大幅な変更が。 お芝居では彩風演じるフェルゼンが「オスカルを頼む」と縣千の演じるアンドレにまっすぐに語り掛ける。それは「これから次期トップスター朝美絢を支えてくれ」の意だと理解し、グっときた人も多いはず。そんな出演者への「当て書き」的部分も含め、新しい「令和のベルばら」と言っていいだろう。 宝塚観劇歴10年の編集Zが、8月11日昼1時からの千秋楽ライブ中継をみるべき理由を解説! ■ その1:彩風咲奈集大成を目に焼き付けろ 前回2013年に宝塚大劇場で同じ「フェルゼン編」を上演したのは当時のトップスター壮一帆率いる雪組。そのとき入団7年目までの出演者のみで公演を行う「新人公演」で主演のフェルゼンを演じたのが、今回主演を務める彩風咲奈。 さらに本人が「ベルサイユのばらは、宝塚を目指すきかっけとなった作品」としてインタビュー等で公言している。それゆえラストステージでフェルゼンという役に再び挑むと思うと、エモさが増し増しだ。 お芝居終了後、間髪入れずに展開される完全に彩風咲奈「さよなら仕様」のフィナーレのミニショーも必見。劇中でも歌われる書下ろしの新曲の「セラヴィーアデュー」が何度もリフレインで登場し、完全アカペラで雪組生が、銀橋にいる白い衣装を身にまとった彩風に歌いかける演出が、感動的でとにかくニクい。 ■ その2:朝美絢の歴代最高レベルのオスカル、夢白あやのマリー・アントワネット涙の熱演 地上波のテレビ番組出演時に「黒髪の人」がトレンド入り、SNSを沸かせたスター・朝美絢がオスカルを演じる。公演のポスタービジュアルが公開になったとたん「大優勝」「もはや美の暴力」など、今度は「ブロンドの髪翻す」オスカルとして、SNSで話題が集中。 実際に舞台で動き回るたたずまいも、キリリとりりしく、まさに男装の麗人・オスカルそのもの。バスティーユで市民たちを率いるシーンには「待ってました」とばかりに客席から特に大きな拍手が送られた。 そして、大劇場公演の客席からのすすり泣きが大量発生したのは、マリー・アントワネットが最後に牢獄から断頭台に登るシーン。ストーリーがわかっていても、夢白アントワネットが素晴らしい芝居で、全力で泣かせにくる。これで泣かない人は、かなり涙腺が強いに違いない。 その他の出演者も、毎日熱演を繰り広げているが、公演期間が進むとともに日々進化し続けているように思う。千秋楽は最高に気持ちの乗った、アツい舞台になること間違いなし。配信では各出演者の表情がしっかりと映し出されるはずなので、期待しよう。 ■ お芝居はもちろん、さらに「サヨナラショー」と退団者の挨拶まで! 千秋楽は通常の公演だけでなく、さらに続けて約30分間の「彩風咲奈サヨナラショー」が上演される。このショーはトップスターの退団時の前楽、千秋楽に特別に設定されており、まさにトップスターの集大成。 10日に行われた前楽サヨナラショーでの驚きの構成に、さっそく現地観劇したファンから「まさかのあのシーン!」などと驚きと喜びの声がSNS上にあふれた。加えて千秋楽には彩風含む退団者5名、ひとりひとりからの挨拶もある。 これを見守りたいがために、昔はトップスター退団公演の千秋楽の朝には、当日券の抽選に参加希望者で劇場に長蛇の列ができ、抽選に当たった最高ラッキーな一部の人しか観ることが叶わなかった。しかしそれも今は昔。令和は、課金すればリアルタイムですんなり観れてしまう。 さらに販売用の公演DVDやブルーレイは、千秋楽ではなく公演途中での収録映像となり、通常、宝塚千秋楽公演のフル映像は円盤に残らない。CS放送「スカイステージ」に加入すると、1年後くらいにフル映像に近いものは観れるかもしれないが、もちろん編集される。宝塚大劇場公演千秋楽のフル映像は、11日にリアルタイムで観るしかないのだ。 全国各地の映画館でのライブ・ビューイングは、来場者特典「メモリアルチケット」付き5200円。※一部の映画館ではすでに売り切れも出ているため、詳細は公式ホームページで確認を。 またライブ配信は「Rakuten TV」「U-NEXT」「Lemino」で11日昼1時30分まで購入可能。視聴料は4000円。 「令和のベルばらに乗り遅れてしまったかも」という人もいまからでも遅くはない。近くの映画館や、自宅のライブ配信でぜひドラマチックな作品をリアルタイムで楽しもう。