労働者の服「バーンジャケット」が、なんと最旬トレンドアイテムに浮上！ ハイブランドからも注目
シルバーのスプーンよりさらに大衆に根差した起源を持つ「バーンジャケット（バーンコート）」がいま、トレンド最前線に急浮上している。 【写真】シャネルの"カメラの形をした"バッグが可愛い♡！春夏の新作バッグ250選 フェンディのアーティスティックディレクターであるシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディでさえ、最近はこのアイテムに面白さを見出しているようで、2024-25年秋冬メンズコレクションのランウェイには、バーンジャケットが多く登場した。彼女はジャーナリストに対し、「私はこのアイテムを“タウン・アンド・カントリー”と呼んでいます。なぜならクラシックなシックさがあるから」と述べている。
これは、プラダが2024年春夏コレクションで、レディース向けのオリジナルのバーンジャケットを発表した直後のこと。プラダは、小麦色やワインレッドなどのバーンジャケットを展開し、繊細でフェミニンなルックの上に重ねていた。 ではなぜ、丈夫さを追求したバーンジャケットがファッションの定番になったのだろうか。その起源から紐解いてみよう。 チョアジャケットとも呼ばれるバーンジャケットは、19世紀のフランスで生まれた。伝統的に、耐久性のあるコットンドリル生地やモールスキンで作られ、タバコの缶を入れるための広々としたポケットや、袖を簡単にまくるためのボタンカフが装備されており、作業員、鉄道労働者、農民のための衣類だった。特徴的な色合いを出すために使用された染料により、ブルー・ド・トラヴァイユ （労働者のブルー）と呼ばれるようになった。
やがてバーンジャケットは大西洋を渡って米国に伝わり、ワークウエアブランドのカーハートが1917年に発表すると、それに続くように1920年代頃に大量生産されてゆく。カーハートは、コーデュロイの襟、トリプルステッチの縫い目、銅リベットで強化されたポケットなど、独自のスタイルを確立していった。 その後、L.L.ビーンのような企業がさまざまな素材を使い、素材や色のレンジを広げたことで、バーンジャケットはファッションの面で進化を遂げた。最近は、ファッショナブルな人々の間でワックスキャンバス製のタイプの人気が高まっていることに気付いている人も多いだろう。 いまバーンジャケットは、労働者だけでなく、エリザベス女王からベラ・ハディッド、そして言うまでもなくニューヨークの流行に敏感な人々のクローゼットにも並んでいる。90年代には、J.クルーやランズエンドといったブランドがプレッピーアメリカーナのノスタルジックな魅力に傾倒し、このスタイルを採用したことで大きな復活を遂げた。そしてこの1年でハイファッションの仲間入りを果たし、フェンディとプラダ以外にも、ヴァレンティノ、バレンシアガのランウェイに登場。ロエベでは、ポケットが膨らんだクロップドバージョンが台頭した。 では、バーンジャケットに急に関心が集まったのはなぜだろう。ニューヨークを拠点に活動するスタイリスト兼ファッションエディターのイアン・ブラッドリーは「フォーマルではないデイリーの定番アイテムのバリエーションになるからです」と話す。また、英国のロイヤルファミリーは日常的にバーンジャケットを着用しているため、それがバーンジャケットの根強い人気に貢献している可能性は高い。あるいは消費者はデジタル中心の生活から脱却するために、こうした感触の良い衣類に興味を持っているのかもしれない。 ブラッドリーは「2000年代はミリタリージャケットが人気でしたが、いま着ると攻撃的な印象になります」「いっぽう、バーンジャケットはカジュアルですがきちんとして見えるので、人々はそこに惹かれているのでしょう」と語っている。
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