公費解体、豪雨で計画下回る 能登地震10カ月 生活再建の停滞懸念も
元日の能登半島地震で損壊した石川県内の建物の公費解体が、9月の記録的豪雨の影響で遅れている。豪雨に伴う土砂崩れなどによって中断を余儀なくされるケースが相次ぎ、9月中の解体数は計画より300棟超も下回った。10月の解体数も同21日時点で1370棟と計画を下回るペースだ。1日で地震から10カ月。被災地では当初から公費解体の遅れが指摘されていたが、豪雨の影響でさらなる生活再建の停滞も懸念される。 【グラフでみる】能登半島の公費解体は豪雨の影響で計画を下回っている 記事に戻る 県によると、9月21日に発生した豪雨では解体作業用の重機が水没し、作業員の宿舎は一部で床上まで浸水。道路が土砂崩れで寸断されたほか、作業員が現場にたどり着けないエリアもあった。道路事情の悪化から、解体で生じたがれきの仮置き場への搬出に時間がかかるケースも出ていた。 これに伴い、作業員らを「作業可能なエリアへ配置変更」(馳浩知事)するなどしたが、9月中の解体完了数(緊急・自費解体を含む)は、県の計画が2036棟に対し、実績は1700棟にとどまった。9月末までの累計解体数も5096棟と、計画の5432棟を下回った。 県は豪雨被害の復旧を急ぐとともに、解体業者の増員を図るものの、10月1~21日の解体数は1370棟。月末まで同じペースで進むと仮定すれば、10月中の解体数は2020棟前後になる計算だ。計画では10月中に2348棟を解体するとしており、300棟超も下回ることになる。 石川県内の公費解体は、地震から半年を経ても申請の約4%しか完了せず、被災者から「解体が遅れ、今後のことを何も決められない」といった不満が噴出。県は8月、申請のあった全約3万2千棟の解体を来年10月までに終えるとの計画を公表していた。 県の担当者は「10月の実績はとりまとめ中だが、豪雨被害の復旧も進んで解体数は増えつつある」と説明。今後実績は上向く見通しで、計画の変更もないとしている。