『三國志8 リメイク』インタビュー。ガイドが充実し、演義伝や統率、心得、奇才など新要素を導入「ブラッシュアップの程度は間違いなくシリーズ最高」【TGS2024】
2024年9月26日~29日に千葉県・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2024(TGS2024、26日、27日はビジネスデイ)。コーエーテクモゲームスブースではNintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、PC(Steam)で発売される歴史シミュレーション『三國志8 REMAKE』の新規PVが映像出展されている。 【記事の画像(7枚)を見る】 2002年1月に発売された『三國志VIII with パワーアップキット』をベースに、シリーズ初の大型リメイクを施され誕生した本作。作中に登場する、君主、配下、在野などさまざまな立場にある1000名もの武将からひとりを指名、さらに50以上のシナリオの中から舞台を選び、その人生を追体験していくこととなる。 本記事では、プロデューサーの越後谷和広氏、開発プロデューサーの石川久嗣氏へのインタビューをお届け。発売延期を挟んで徹底的なブラッシュアップを図り、2024年10月24日の発売日を迎える本作の魅力と新情報について語っていただいた。 越後谷和広氏(えちごやかずひろ): 『三國志8 REMAKE』プロデューサー 石川久嗣氏(いしかわひさつぐ): 『三國志8 REMAKE』開発プロデューサー 『三国志』の時代を楽しみたい人もみずから難度を上げて茨の道を味わいたい人も誰もが楽しめる懐の深いゲーム性 ――いよいよ発売日が近づいてきました。現在の完成度は?: 越後谷: すでに最終調整も含めて開発は終了しています。あとは発売を待つのみ。さすがにもう延期することはありません(笑)。 ――東京ゲームショウ2024の出展では、どういった内容が楽しめるのでしょうか? 越後谷: 今回はPVの出展のみとなります。今年もコーエーテクモゲームスのブースに来ていただいた方には孔明の羽扇を配布しておりますので、ぜひお越しください。また配信番組 “コーエーテクモLIVE! in TGS2024”でもゲーム内容や最新情報を実機プレイを交えて紹介させていただきました。アーカイブでの視聴も可能ですので、そちらもチェックしてみてください。 ――実際に実機で触らせていただいたのですが、初プレイ時のガイドやチュートリアルの充実に驚きました。 越後谷: 20年以上前の作品のリメイクではありますが、そういったプレイをサポートする環境についてはできるだけ“イマドキ”の丁寧なインターフェースを目指して作りました。ゲーム性は変えていませんが、どんな方でも入りやすいものにしたつもりです。 石川: 武将たちのエピソードだとか、そのビジュアルだとか……少しでも 『三国志』について知っていれば楽しめるようなものにしていこう、シミュレーションゲームということで少しハードルは高いかもしれないけど丁寧にサポートしていこう。その意識はかなり徹底していると思います。 越後谷: 今回は開始時だけでなく、ゲームが進んでもしっかりとサポートしています。サポートキャラクターも新たに登場させましたし、“演義伝”でもシリーズおなじみの“水鏡先生(※)”が教えてくれるようになっています。 ※水鏡先生……後漢末期に人物評論家として名を馳せた知識人で本名は司馬徽。徐庶らの師にあたり、荊州時代の劉備に諸葛亮らの存在を教えた人物と言われている。 ――選べる武将が1000名、シナリオも50本以上あって、最初に誰をどの時代からプレイしたらいいか悩んでしまう人もいるかもしれませんし、ガイド役がいるのはありがたいですよね。: 石川: そうですね。とくに今回はガイド役が“おすすめ”を用意してくれています。君主を始め6つの立場でそれぞれおすすめの武将とシナリオが提示されているので、オリジナル版をプレイしたことがない人はそこから始めると遊びやすいと思います。 越後谷: また、自分で選ぶ場合にもこれまでのシリーズの“武将プレイ”作品と形式を変えているんですよ。 石川: いつもはシナリオを選んで、武将を選んで……という手順を踏んでいたのですが、今回は武将を先に選ぶこともできるようにしていますし、武将についても有名な武将ほど上に表示して選びやすくしました。 越後谷: 1000人もいると、50音順では有名な武将であってもなかなか見つけられなかったりしますからね。 ――初めてプレイする人は、どの立場の武将で始めるのがいいのでしょうか? 石川: もともと 『三國志』シリーズは君主プレイの作品でしたが、『三國志VII』で武将プレイが導入され、その後もいくつかの作品で武将プレイができるようになっています。つまり、一般武将でのプレイはそれだけ魅力あるものだということなんです。 ですから、まずは一般武将で始めていただいて、それから太守、都督と出世していく人生を体験するのがオーソドックスな楽しみかたかもしれません。 越後谷: これまでのシリーズ作品での反応を見る限りは、三国鼎立後の大勢力よりも群雄割拠時代の2、3都市くらいの中小勢力のいち武将でプレイするのが人気があるようです。 ――君主プレイでもそうですよね。194年ごろのシナリオの孫策とか……。 越後谷: 本作のいいところは、どんな弱小勢力でも選択可能だということなんですよね。先日配信番組の “三國志8 REMAKE 開発者通信”でも話したのですが、潼関の戦いで負けた後の馬超、韓遂あたりでのプレイはそうとうハードで、そのぶんやり甲斐もかなりのものになっています。 ――これまでもファンのあいだでは“南荊州四英傑”なども有名でしたし、より厳しい状況でのプレイを捜し求めるというのも流行りそうですね(笑)。 越後谷: 1000人、50以上のシナリオとパターンはいくらでもあるので、さまざまなプレイを模索していただきたいです。そのうえでランダム性の高い人間関係や多彩なイベントも用意してあるので、何度もくり返して遊びやすくもなっているはずです。 ――いまお話に上がったイベントや会話の多彩さも本作の魅力かと思われますが、注目してほしいイベントがあれば教えてください。 石川: 目新しさという意味では、すでにPVなどで紹介していたりもしますが、オリジナル版はもちろん、これまでのシリーズ作品から大きく変えたものはほとんどありません。ですが、たとえば貂蝉の描きかたなど、さまざまな側面を持つキャラクターの描写については今回もチャレンジングなアプローチをしているので注目してください。 越後谷: 一方で、イベントそのものではないのですが、オリジナル版にはない“演義伝”というシステムを導入したのは大きな変化だと思います。 石川: シリーズの近作だとか 『信長の野望』シリーズでもおなじみのシステムです。最初からイベントの発生条件や結果などが確認できるようになっていて、さらに発生させるかどうかもユーザーの意思で選べるというものです。 たとえば本作なら徐州での劉備と呂布の一連の争いで、自分が曹操や孫策などでプレイしているときにそれらのイベントが起こるようにしておけば、勝手に相争って弱体化してくれるのでやりやすくなったりします。また、最後の呂布が負けるイベントだけ起こさせずに、自力で呂布を捕らえにいくとか、必ずしも史実通りでない選択も可能になっているんです。 ――弱小勢力でプレイしているときは、歴史イベントは起こさないほうが混戦になりやすいですよね。 石川: 偶然ではなく、自分の意思で調整できるのが魅力だと思います。 『三國志8 REMAKE』はこれが“完成形” ――能力値では、オリジナル版にはなかった“統率”が新設されました。かなり大きな調整が必要になったかと思われますが、そのうえで導入したのはどういった意図があるのでしょうか?: 石川: 統率の導入は、諸葛亮や周瑜など、戦闘が高くなくても“強い”であろう武将を活躍させるためというのが大きな理由です。なるべく違和感がないように調整していますが、部隊の武将編成によっては変化が感じられると思います。シリーズの近作をプレイされている方ならなじみのあるバランスかもしれません。 また、内政コマンドにも参照する能力に統率を入れたものがあって、その代わりにそこで使われていた能力を別のコマンドにスライドするなどしています。たとえば、補修は知力から統率に変わっていて、その代わりに技術が知力が影響するようになりました。 ――本作では、戦法、戦術を新たに習得したりレベルアップできるようになる“心得”という要素が追加されました。この心得というのは、どのくらいの頻度で獲得できるものなのでしょうか? 石川: まず、心得は戦法や特技の種類によってジャンル分けされていて、どの心得がもらえるかは、くれる相手の武将が秀でている戦法や特技に影響します。獲得のしやすさについては、まんべんなくたくさんの武将と交流を深めていれば自然と獲得できる感じになっています。 とくに意識せずプレイしていても、4、5年くらい経てば何かしらの心得がもらえるようになるはずです。ただ、それらをレベルアップまでさせようとすると少しハードルが上がってくるかもしれません。 ――開発陣の中で、全戦法、戦術を習得させた人はいるのでしょうか? 石川: いました。そのうえで、全部レベル3まで上げるというのも理論上は可能になっています。 越後谷: ただ、あらゆるものを犠牲にしないと難しいでしょうね。君主だったら、すべてを配下に丸投げして心得獲得にいそしむくらいでないと……。寿命の問題もありますし。 ――今回はやり込み系ユーザーのやる気に火をつけてくれるような要素が盛りだくさんですね。さて、新要素“奇才”についてもうかがいたいと思います。奇才が使える武将の数はどのくらいなのでしょうか? 越後谷: 人数は30人です。それでも、じつは 『三國志14』の固有個性よりは多くなっています(古武将や戦国武将などを除く)。武将が全部で1000人なので、その3%ということで30人にしました。“特別”というからには5%もいると多すぎかなと。基準については、ユーザーの皆さんでさまざまな意見はあると思いますが、今回はこのような選抜になったということで理解してください。 ――奇才持ちでない武将でプレイするとき、奇才持ち武将とはどのように接すればいいのでしょうか? 越後谷: 奇才持ちは破壊的に強いので、できる限り仲よくするといいと思います。今回はオリジナル版と同様に交流がいちばん肝要であるというスタンスですから、相生の関係を目指したり、同盟の相手として活用してほしいですね。一方で弱小勢力に奇才持ちはほぼいないので、それはそれで楽しんでもらえればと思います。 石川: 奇才よりも“連携”をどう発生させていくかのほうがプレイ全体では大きなウェイトを占めていると思います。周囲と協力する効果は大きく、さまざまな場面で発生させればそれだけプレイがラクになるはずです。 ――そのほか、ゲームの見どころをあらためてまとめていただけないでしょうか。 越後谷: これも最初期からいろんなところで言ってきましたが、よくしゃべるところは注目していただきたいです。それから、シナリオオープニングもひとつひとつ作っていますし、プレイするたびにさまざまな発見、気づきがあると思います。リメイクのもととして 『三國志VIII』を選んだのにはそういう意図もありました。 石川: やはり、遊びの“幅”が広いのがいちばんの魅力です。イベントのボリュームもシリーズ最大で、適当に進めていても何かしらイベントが発生するようになっています。そのほか、相手のほうから交流のアプローチがあったり、思わぬエピソードが出てきたり、気付かぬうちに時間が経ってしまうと思います。こうして懐の深いゲームにできたことには私も満足しています。 ――発売後、シナリオ等の追加コンテンツの配信予定があれば教えてください。 越後谷: なにかとコラボしたいとは思っています。ただ、後出しで何かゲーム内容を追加していくということは考えておりません。これが完成形だと思っていますからね。もちろん、不具合だとかプレイアビリティーの改善だとか、細かいアップデートのようなものはしていく予定です。 石川: あとは 『三國志14』で実施したシナリオコンテストのようなものを今回も考えています。『三國志14』のときのように詳細なものを募集するわけではなく、アイデア、テーマを出してもらう……といったイメージです。 越後谷: 改めてになりますが、ボイスもたいへんこだわっている要素なのでぜひ堪能してください。量については何度もお伝えしてきましたが、内容や演出も担当者がこだわり抜いたものになっています。あまりにこだわったせいで、日本語以外の音声制作まで手が回らなかったほどです。裏を返せば、それだけ渾身のデキだということですので、楽しみにしていてください。 ――それでは最後に、ファンの皆さんに向けてひと言ずつお願いします。 越後谷: もう隠すものはありません。1年間前も同じことを言っていましたが、今度こそ100%です。発売延期以降徹底的に見直してきて、ブラッシュアップの程度で言えば間違いなくシリーズ最高のものになっています。ボリュームと、完成度の高さをご期待ください。 石川: シリーズの中ではもっとも裾野を広くした作品になったと自負しています。どんな方でも楽しんでいただけるはずです。BGMや霧の表現など、昔オリジナル版をプレイした人には懐かしいと思っていただける要素も盛り込んでいます。 一方で最近のシリーズのファンの方にも楽しめるように、インターフェースも近作のものに揃えていたりもします。チュートリアルなども充実していますし、ゲームの方からいろいろ働きかけてくれるようなものにしているので、これまでシリーズ作品を遊んだことがない方にも、とりあえず手に取っていただけたらと思っています。