牛襲い続けた「怪物ヒグマ」OSO18…“肉の味”教えたのは人か 進む巨大化と求められる対策
国有林に100頭超のエゾシカ死骸 不法投棄が与えた影響
北海道東部の厚岸町の国有林では2022年、100頭以上のエゾシカの皮や骨などが捨てられているのが発見された。北海道森林管理署によると、何者かが数年にわたり、解体後のエゾシカの死骸を不法投棄していたとみられる。 エゾシカの死骸の処理はハンターの自己処理としている自治体もある。しかし重さ100キロ超の死骸を運搬・解体するのは一苦労。この負担が不法投棄につながっていることもあるという。これらがクマのエサとなり、肉の味を教えた格好だ。 「普通のヒグマを『OSO18』という怪物にしたのも人間。そして、命を終わらせたのも人間だった」(藤本さん)
進むヒグマの巨大化 400kg クラスの個体も
人の営みが変えたのは食性だけではない。北海道東部のクマは巨大化傾向にあるという。藤本さんによると、オスグマの標準的な重さは200キロ~300キロだが、ここ数年は捕獲されるクマの半数以上が300キロ以上の大型で、400キロクラスも増えていた。 幼獣の巨大化も進み、最新の調査では、満2歳のオスグマの標準体重100キロだが、1.5倍近い個体も珍しくなくなった。 「デントコーンの作付面積が広がったことや、エゾシカの増加により、動物性たんぱく質などの栄養価が高い食べ物を摂取できる機会が増え、体重増加率が高くなっている」(藤本さん)
ヒグマの肉食化 対策整備が急務
ヒグマの肉食化を感じさせる出来事は道内各地で見つかっている。 同じ北海道東部の標津町や羅臼町では海に打ち上げられたトドを、ヒグマが食べているのが頻繁に確認された。 400キロ以上離れた北海道北部の幌延町ではメスの乳牛がクマに襲われ、ほぼ骨の状態だった。付近には約17センチのクマのものとみられる足跡があり、OSO18をほうふつさせる。
北海道立総合研究機構の釣賀一二三自然環境部長は「クマに牛の味を覚えさせないように、電気柵を設置するなどしっかりと防除することが重要」と強調。「同時に、肉食性をこれ以上強めないために、シカの頭数管理や捕獲後の死骸を回収できる場所の整備が求められる」と訴える。 人間によって作り出されたかもしれない「怪物」を二度と生み出さないため、対策が急がれる。
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