川崎フロンターレ、「センサリールーム」導入の先駆者としての使命、発達障がいや感覚過敏がある子どもたちにもサッカー観戦を
──試合当日の演出も工夫されているそうですね。 「えがお共創プロジェクト」対象試合では、子どもたちに伝わりやすいように、案内用のPOPや大型ビジョンの表示をひらがな表記にしています。そのほか、選手のピッチ練習入場の出迎えや、マスコットとの交流、センサリールームへの出張グッズ販売などを実施。サプライズで、ハーフタイムに選手と交流することもあります。 ──参加した子どもたちや、プロジェクトに関わった選手からは、どのような反応がありましたか?
子どもたちが、センサリールームや特性に合わせたおもちゃなど、落ち着いて観戦できる環境があることにとても安心してくれたことが印象的でした。イベント前に配布された「しおり」(ANA制作)も、文字を読むことに抵抗があるお子さんに優しい作りで喜んでいただけました。また、選手と交流できてうれしかったという声もたくさんもらいます。感動して泣いてしまうお子さんもいましたね。 またご家族からは、「子どもたちを安心して任せられる環境だった」という声をいただきます。「えがお共創プロジェクト」でこうした環境を提供できたことを非常に嬉しく思っています。
一方で、それまで発達障がいのお子さんと触れ合う機会がなかった選手からは、「子どもたちのことをもっと知りたいと思うようになった」というフィードバックがありました。「子どもたちが困っていることは何だろう、僕たちにできることは何だろう」と真剣に考えるようになった選手もいます。 ■センサリールームの設置をスポーツ界にさらに広げたい ──「えがお共創プロジェクト」で改善したいところはありますか。 現在は小学生のお子さんとその家族を対象にしていますが、参加してくれた子が大きくなってもまた会えるように、「中学生や高校生の発達障がいの子どもが参加できる企画もほしい」という意見をいただき、検討を進めています。またこのプロジェクトは、発達障がいのお子さんの“家族”も気兼ねなくサッカーを楽しめることをテーマに掲げています。普段なかなかスタジアムに足を運べないサポーターのご家族もリラックスできる場づくりを意識したいですね。