解説:米民主党は、バイデン氏に代わる大統領候補を擁立できるか?
トランプ前大統領とのテレビ討論会における、バイデン米大統領のパフォーマンスに不安を抱いた民主党員らは、バイデン氏に代わる人物を民主党の大統領候補に据えるべきか、公然と議論している。 <民主党は大統領候補を変えられるのか?> バージニア大学政治センター所長ラリー・サバト氏は、大統領候補を交代させるプロセスは明確だが、容易ではないだろうと述べた。 「候補者が除外される方法はただ1つ、それは候補者が党大会前に出馬を取りやめることだ。バイデン氏が候補者を辞退するためには、オバマ元大統領、ヒラリー・クリントン氏、クリントン元大統領、ペロシ前下院議長が一致団結し、全員が国益のため、そしてトランプ前大統領を倒すためにはバイデン氏が辞退しなければならないと合意する必要がある。彼らは、ホワイトハウスに行きバイデン氏を説得しなければならない。バイデン氏を説得するのは難しいだろう。そしてジル夫人をも説得する必要があり、それはさらに難しいかもしれない」 <誰がバイデン氏の代わりになるのか> サバト氏は、候補者は大勢いるものの、明らかに最有力とみられる人物はいないと話す。 「カマラ・ハリス氏は副大統領なので、当然候補者の1人だが、特に有力な候補だとは思わない。ニューサム・カリフォルニア州知事は、知事というだけでなく多額の資金にアクセスできる。新たな候補者は、非常に短時間で資金を集めなければならないが、それができる人はあまり多くない。ミシガン州のウィットマー知事は間違いなくこのリストに入るだろう。ミシガン州は重要なスウィングステートの1つだ。イリノイ州のプリツカー知事は自力で資金を調達できるだろう。ケンタッキー州のベシア知事は、共和党が強い同州で民主党員でありながら2度当選を果たした。ペンシルベニア州のシャピロ知事は非常に短期間で人気を博し、話し上手で、ペンシルベニアという重要なスイングステートに適している。これはバイデン氏やトランプ氏よりも、適している」 <今後の展開は> いまのところバイデン氏は選挙戦から降りるつもりはないと話している。討論会の翌日、陣営は「全員参加」の会議を開き、81歳のバイデン氏を選挙戦から撤退させることはないとの方針を改めて確認したという。 「共和党の候補者がトランプ氏以外の誰かだったら、この選挙戦は終わっていただろう。バイデン氏がまだ選挙戦に残っているのは、トランプ氏が非常に物議をかもし、彼が何をするのか広く恐れられているからだ。トランプ氏についても同じことが言える。もし新しく、活気のある若い民主党候補者がいたら、人々はトランプ氏を阻止するためにその機会を利用してトランプ氏を排除するだろう」