成田実生 17歳初五輪3人目の高校生代表 「最後の5メートルが勝負だよ」池江の金言を力に変えた
「競泳・パリ五輪代表選考会」(19日、東京アクアティクスセンター) 女子400メートル個人メドレーは17歳の成田実生(金町SC)が4分35秒40の高校新記録で1位となり、2位の谷川亜華葉(イトマン近大)とともに派遣標準記録を突破して代表に決まった。成田は初代表で、谷川は2大会連続。東京五輪覇者の大橋悠依(イトマン東進)は4位に終わり、この種目での代表入りを逃した。女子100メートル平泳ぎは33歳の鈴木聡美(ミキハウス)が1位となり、競泳の日本勢で史上最年長の五輪代表に決定。2位の青木玲緒樹(ミズノ)、男子200メートル自由形を制した松元克央(ミツウロコ)も代表切符をつかんだ。 ラスト50メートル。成田は心の中で強くとなえた。「絶対にパリに行くんだ!!」。疲労がピークに達する中、大橋をかわして抜け出すと、重い腕を必死に動かしてゴール。電光掲示板で光る「1」と、自己ベストの「4分35秒40」を確認すると、右拳を高く突き上げ、隣で接戦を繰り広げた谷川と涙ながらに抱き合った。 「最高の気分。最後まで諦めずに頑張って良かった。コーチ、送り迎えをしてくれた家族、他の支えてくれた人に感謝の気持ちでいっぱい」 おっとり口調が特徴の17歳。東京五輪の選考会時は14歳だったが、22年選考会で大橋を破って才能の片りんを見せると、一気に注目を浴びた。初の代表入りとなった昨年の世界選手権(福岡)は、400メートル個人メドレーで決勝進出。3年の時を経て、代表を争うまでに成長した。 レース前は、18日に女子100メートルバタフライで五輪代表を決めた同級生・平井瑞希から「頑張ってね」とエール。大会前に合宿を共にした池江璃花子からは「最後の5メートルが勝負だよ」と助言を受けた。「昨日のレースを見て、勇気をもらったし、私も続くんだと思った」。親友と憧れの先輩からの金言を力に変えた。 平井、男子400メートル個人メドレーの松下知之を含めて高校生3人目の五輪内定。成田は「やっとスタートラインに立てた。代表権を取れたからには本番でも結果を残したい。満足せずに頑張りたい」。ニューヒロインがパリを見据えた。 ◆競泳のパリ五輪への道 個人種目は、今大会の決勝で日本水連が定めた派遣標準記録(2017~23年に開催された五輪、世界選手権10位相当)を突破した上位2人が代表に決まる。昨年7月の世界選手権(福岡)優勝者は早期内定だったが、該当者はいなかった。リレー種目は100メートル、200メートル自由形の上位4選手の合計タイム、メドレーリレーは各100メートル種目の優勝者の合計タイムが、派遣標準記録を突破していれば代表入りとなる。 ◆成田実生(なりた・みお)2006年12月18日、東京都出身。2022年世界ジュニア選手権の個人メドレー2種目と、女子400メートルメドレーリレーで3冠を達成した。23年世界選手権の400メートル個人メドレーは8位。東京・淑徳巣鴨高2年、金町SC。163センチ、47キロ。