「彼女に同情する」対戦経験ある仏戦士が性別騒動の渦中にいるケリフを擁護「女性らしさに疑問はない」【パリ五輪】
涙のメダル獲得は、世界に衝撃を与えた。 現地時間8月3日に行われたパリ五輪の女子ボクシング66キロ級準々決勝で、アンナ・ルツァ・ハモリ(ハンガリー)と対戦したイマネ・ケリフは、5-0とフルマークによる判定勝ち。同競技は3位決定戦がないため、銅メダル以上が確定した。 【画像】エアコンなしの質素なデザイン? パリ五輪選手村の全容をチェック 見事に母国に今大会初のメダルをもたらした25歳は、試合後に「私は女よ」と涙ながらに絶叫。コーチに支えてもらいながらリングを降りた。 ここまで感情をむき出しにするのも無理はない。小さくない論争を巻き起こした性別を巡る問題の渦中にいるのだ。 ケリフは、国際ボクシング連盟が昨年の世界選手権時に行った性別適格検査で、大会前に不合格とされた経緯がある。パリ五輪出場を巡っては、国際オリンピック連盟が「彼女たちは女性として疑う余地はない」「科学的根拠に基づいている」(いずれもトーマス・バッハ会長談)と主張。女性としての参加は決まったのだが、彼女のパフォーマンスは大きな波紋を呼んでいた。 今大会初戦となった2回戦では、相手となったアンジェラ・カリニ(イタリア)が開始46秒で2発を被弾した直後に棄権を決断。この一報的な結果に同国のジョルジャ・メローニ首相が「公平ではなかった」と疑義を投げかける事態となった。 もっとも、ケリフの性別適性資格を巡っては、「女性である」という意見を明確にする人々も少なくない。フランス人ボクサーで、ケリフと対戦した経験を持つエミリー・ソンビコは、母国のラジオ局『RMC Sport』のインタビューで「イマネは女性として生まれた。そのことに議論の余地はない」と断言。世界的な論争が渦巻く現状に持論を展開している。 「正直に言ってかなり驚いているわ。だって、あのドナルド・トランプまで論争に加わってこようとしていたんだからね。でも、私は彼女を数年前から知っているから、この件に関してはかなり中立的でいるつもり。 色んな人たちがこの件で彼女に話したいことがあるのは分かっている。けど、少なくとも大会中は放っておくのが良いと思う。すでにかなりカオスな状況になっている。彼女のような女性は一人じゃないのに、世界で槍玉に挙げられている。だから私は同情する」 さらにカリニの棄権について「そうするべきではなかった。100%の断定はできないけど、彼女は自分の判断を正当化するほど強い打撃を受けていなかった」と語ったソンビコは、一部で「男」と揶揄されるケリフを慮っている。 「彼女は他の女性よりも男性的な体格をしている。それはみんなにも目があるからわかるでしょ。でもね、私は2018年から彼女を知っているけど、平均よりバストも少ないけど、彼女の女性らしさに疑問はないわ。今春に戦ったこともあるし、計量をして、下着姿も見たことがある。彼女はいつも私に敬意を払ってくれた。決して上から目線ではなかった」 かつて拳を交わしたライバルも「女性」としたケリフ。今後も彼女を巡る議論は尽きそうにないが、その中でどこまでの成績を収められるかは大いに注目したいところだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]
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