コミュニケーションを円滑にする3-2-1テクニック
アメリカの心理学専門ウェブサイトで、傾聴スキルを向上させるための3ステップ・メソッドが紹介されている。それはどんなものだろうか。 人間関係を築くにあたって重要なのはコミュニケーションだ。カップルの間でも家族内でも、良好なコミュニケーションのために尊重すべき3つの柱があると児童心理学者のローレンス・J・コーエンは言う。それは「自由に喋ってもらうこと、共感をもって傾聴すること、相手の言葉をミラーリングすること」。2024年1月1日にアメリカの心理学専門メディア『サイコロジー・トゥデイ』のウェブサイトに掲載された記事の中で、コーエン博士は人間関係を良好にするためのシンプルなテクニックを提案している。 まず、コーエン博士はこんな風に問いかける。「みなさんは、ご自分のパートナーの話にちゃんと耳を傾けていますか?」と。この質問は親子間でも、友人同士であっても成り立つ。答えがノーならば、「簡単なミラーリング」の手法でコミュニケーションを改善できるそうだ。
3-2-1テクニック
この方法はとても手軽で所要時間はたったの6分だ。まず話す人とそれを傾聴する人を決める。話す側は3分間話す。「気がかりなことでも相手と分かち合いたいことでも、心に浮かんだことを話しましょう」とコーエン博士。タイマーが鳴ったら話を止めよう。だらだら話し続けるよりも、話が伝わる可能性が高い。 再びタイマーをスタートさせる。今度は2分間だ。傾聴していた側が、相手の話を確認する時間となる。これが、博士が「ミラーリング」と呼ぶ段階だ。「相手が言った言葉をそのまま繰り返してもいいですし、別な言葉で言い換えても構いません。ただし話を解釈したり判断したりしないことです」。例えば良くない例は、「あなたは、私たちがどこで食事をしようと気にしないと言ったけれど、実際には気にしているでしょう」と言ってしまうことだ。それよりもむしろ次のように返すべきだ。「私が今聞いたのは、あなたは、私たちがどこで食事をしようと気にしないということ」 タイマーが鳴ったら最後のステップ、今度は1分間だ。最初に発言した人が、相手のミラーリング発言に対して答える。「それは『聞いてくれてありがとう、ちゃんと聞いてくれたね』でも、『話の一部は理解してもらえたけれど、この部分はわかってもらえなかった』でも、『理解してもらえたか自信がないので重要な点をもう一度言うね』でも構わないのです」と博士は説明する。大事なのは、この最後の瞬間に別な話題を持ち出さないことだ。「時間が足りないのでスルーされてしまうからです」
練習する
一巡したら、役割を逆転させて再スタートしよう。いずれにせよコミュニケーション能力はすぐに身につくものではない。このテクニックが使えそうと感じたら、何度も繰り返し練習したり、お互いの話を聞くセッションの機会を定期的に設けることを博士は勧める。「3-2-1テクニックの目的は、長年のわだかまりを一気に解消させるようなものではありません。ただ単に、話を聞いてもらう体験を通じて、傾聴の良さを知ってもらうためのものです」と博士はこのテクニックを過信しないよう、釘を刺すことも忘れない。お互いのコミュニケーションが良好になることを期待して、まずはタイマーを準備してみてはどうだろう。
text : Lena Couffin (madame.lefigaro.fr)