マチの魅力紹介 北海道内の首長がバスガイド 全国でも珍しい取り組みが人気に 今夏に10周年
自治体首長がガイドを務める北海道中央バス(小樽)のバスツアーが今夏、10周年を迎える。これまで計45自治体で96回開催し、延べ約1700人が参加した人気商品。日本バス協会(東京)によると、全国でも珍しい取り組みで、舞台となった自治体にはリピーターやふるさと納税の寄付額、土産品の販売などが増えるプラス効果を呼んでいる。 【増毛】海底熟成の日本酒を引き揚げ 増毛 6キロ沖合で 「増毛の国稀しか飲みません。高血圧の薬は飲んでますけど」。昨年12月中旬のツアーで、留萌管内増毛町の堀雅志町長(70)が冗談を交えて地元の日本酒を売り込むと、満席の車内は和やかな雰囲気に包まれた。 堀町長がガイドを務めるのは3回目。札幌発のバスに道の駅るもい(留萌市)から同乗し、増毛までの約15分、特産の甘エビや果樹もPR。旧JR増毛駅で昔の写真を見ながら歴史を紹介し、地元の海鮮が彩る生ちらしを参加者と味わった。 ツアーは、北海道中央バスの子会社だった「シィービーツアーズ」(2021年に親会社が吸収)が15年7月に商品化した。JRの路線が少ない空知管内を巡るツアーを企画するに当たり、月形町の桜庭誠二前町長の雄弁さに着目し、ガイドを頼んだのが始まりだ。 自治体トップが直に地元の魅力を伝える「特別感」は、マチのファンを増やしている。15年度、月形町へのふるさと納税の寄付額は21件(109万円)だったが、翌年は5295件(7326万円)に急増。上坂隆一町長(74)は「返礼品の拡充効果が大きいが、ツアーも寄与したと考えている。マイカーで再訪する人も増えた」と話す。