上戸彩の“直筆”結婚報告が今だからグッとくる。夫HIROも応援『沈黙の艦隊』の好演にみる厚み
出演シーンを増やしたオリジナル・キャラクター
緊迫の艦隊スペクタクルでありながら、壮大な海洋ファンタジーにもなり得るのは、やっぱり上戸の存在が、フィクション性をより強めるからだと思う。しかも市谷裕美というキャラクターは原作には登場しない、実写版オリジナル・キャラクター。 戦争の脅威がもはや他人事ではなく、一人ひとりの真実が求められる昨今の時代性に必要な存在として、2023年公開の劇場版から今回のドラマ版では大幅に出演シーンを増やした。それがこれまで歩んできた上戸彩物語の軌跡の上に成り立つものだからこそ、感動もひとしおとなる。 上戸がデビューをつかんだのは1997年に開催された「第7回全日本国民的美少女コンテスト」でのことだった。当時、審査員のひとりだったアイドル評論家・中森明夫が、選考からもれた上戸を激推しして、審査員特別賞受賞となった。 見事にブレイクし、2005年には漫画『上戸彩物語』が刊行される。やっぱり物語上の人物でもあるのだ。
ひとつの起点になる入籍発表
そんな彼女が2012年にHIROとの結婚を発表。公式サイトでコメント文を公開し、その時点までの上戸の実感とリアルな声を響かせた。例えばこの箇所。「上戸彩も、1人の女性として、幸せになってもいいですか?」。芸能人としての配慮に余念がなく、ジンとくるものがある。 交際が始まったのは、2010年夏頃。この年は筆者が激推しする三代目 J SOUL BROTHERSが、LDHの次世代を担うグループとしてデビューしている。2013年にはHIROがEXILEのパフォーマーを勇退した。 入籍結婚発表が日本のエンタメの時代性を読み解くひとつの起点になっている。そしてこの2010年に上戸が主演したドラマが『10年先も君に恋して』(NHK)。第1話冒頭は2020年が舞台。主人公の編集者・小野沢里花は、朝から離婚届をつきつけられる。そこからすぐに結婚前に10年の時が遡る。なんだか上戸の実生活とは、まったく逆のドラマ内現実が描かれていて面白い。