左：イオアニス・ミカローディス教授、右：コペルニのパリコレにて

パリ 2024-25年秋冬コレクションにて、コペルニが最新シーズンを発表した。驚きの発想力とハイテクな技術で、ファッションに変化をもたらすブランドは、今季もさまざまな仕掛けをランウェイに取り入れ観客を魅了した。 【写真】コペルニが最新シーズンで発表した「ほぼ空気」バッグ 今季、コペルニは銀河系にインスパイアされた。星形のスティレット、一枚岩のようなクラッチ、スペースブランケットのようなドレス、そして土星の輪を想起させるバルーンスカートなど、宇宙的なモチーフが目立った。 その中でも最も注目を集めたのは、メゾンのアイコニックなスワイプ・バッグの最新形態「エアスワイプ・バッグ」だろう。その名の通り、エア（空気製）から作られており、オンライン上で公開されるや否や、瞬く間に話題となった。 その卵型のバッグは、ほぼ透明。99％が空気、残り1％が“ガラス”製だという。“ガラス”部分はナノ材料の「シリカエアロゲル」というもので、「非常に繊細（脆くはない）」とコペルニのクリエイティブチームは説明する。 シリカエアロゲルは元々、NASAが宇宙塵（宇宙空間に分布する1mm以下の固体の粒子）を集めるために使用されていた。その軽そうな見た目とは異なり、極端な熱や重量の4000倍の圧力に耐える素材だという。 シリカエアロゲルの研究者でビジュアルアーティストのイオアニス・ミカローディス教授が、エア・スワイプバッグを開発した。このバッグは、これまでにナノ材料を使って作られたものの中で史上最大。わずか33gの軽さの、記録的なファッションアイテムとなった。 コペルニのバッグは、アクセサリーの未来に大きな疑問を呈した。空気からバッグが作れるのなら、次は何がくるのだろう？　ファッションの未来はもっとサステナブルになるというサインなのだろうか？ そんな"空気製"のバッグは、果たしてモノを収納することは可能なのだろうか？ その気になる疑問に対するブランド側の回答は「iPhoneを入れられます；）」だった。 つまり、エア・スワイプ・バッグは軽量でサステナブルで画期的、さらに機能性も兼ね備えている。