バレーJTが令和最初のVリーグ女王 吉原知子監督「心強い選手たちになった」
だんだん「やれる」と選手の意識も変わってきた
「これまでにない練習量に吉原監督の厳しさ……毎日がしんどくて」と芥川愛加は当時を振り返った。それでも監督が言っていることを理解するように努めながら、みんなでハードワークをこなしてきた。 その結果、チームが少しずつ変わり始めた。結果も表れた。就任後の2015/16シーズンでチャレンジリーグ全勝優勝・プレミアリーグ復帰、昇格後も4位、2位と順位を上げ頂点が狙える位置にきた。だんだんと「やれる」と選手の意識も変わってきた。 「長い年月かかりましたが、一人ひとりが理解しあって仲間への思いやり、愛のあるチームに変化したと思います」と芥川。「最初のうちはトモさんからの発信の回数が多かったけど、選手から発言が出るようになった。トモさんが1言ったら9、10受け止められる選手が増えてきた」と小幡も。
吉原監督「今季は本気で狙いにいっていた」
昨シーズン「ファイナル3」で東レに先勝しながら、2戦めを落としゴールデンセットの末に逆転負けした悔しさがその意識にさらに火をつけた。「もうあんな思いはしたくない」と「今季は本気で狙いにいっていた」と吉原監督。 成長が見えたのはレギュラーラウンド、スターカンファレンスを首位で上がり迎えた「ファイナル8」。昨シーズンの女王・久光製薬との初戦で、第1セットを14-25の大差で奪われながらも第2セットから「やるべきことをきっちりやって」突き放した。 0-3でトヨタ車体に敗れた後の「セミファイナル」進出がかかった岡山との決戦を3-0で完勝した。これまでのJTはここぞという大事なゲームでプレッシャーにおしつぶされ、力を出せず敗れることが多かったが、経験を活かし変わった。 プレッシャーのかかる「セミファイナル」でも上尾に完勝し、ファイナルでもどちらが勝つかわからないような競り合う展開ながらも拾い粘る岡山に負けない粘りで試合をひっくり返した。
「全員攻撃」「みんなで拾う」「誰が出ても戦える」のコンセプト
選手層やバランスに加え、バレースタイルもだんだんと理想に近づいてきている。今シーズンから左のエース、アンドレア・ドルーズ(アメリカ代表)が加わり、176センチの長身セッターの籾井あきがルーキーながら先発セッターを務め、サイドアタッカーの田中瑞稀、林琴奈、ヒックマン・ジャスティス、ミドルブロッカーの芥川愛加、小川杏奈、ケオカラヤー・カムンタラー(タイ)らの攻撃陣を操った。 「全員攻撃」「みんなで拾う」「誰が出ても戦える」をコンセプトにチームを作ってきた。「初めは全員で拾えるを目指してやってきて、だんだんと攻撃もやりたいリズムでやれるようになってきた。攻撃枚数も常に数枚(4枚)を目指し、バックアタックも打ちサイドも速く、そういうやりたいバレーに近づいてきたかなと思います」と吉原監督も手ごたえを感じている。