「立ち止まれない街」「座るにもお金がかかる街」と言われる渋谷、ガラガラな渋谷モディでも「スタバ」は大混雑に。なぜこんなに「カフェが混む」ようになった?
このような複合的な要素の中で、渋谷は街の中をぶらぶらするわけでもなく、またたむろするような空間が潤沢にある場所でもなくなってきた。 総じて言えば、時間を潰すことができにくい街になってきたのである。 そうした流れで2000年代に急増したのがスターバックスをはじめとするカフェチェーンである。 2000年代からは、いわゆるセカンドウェーブコーヒーの流行により、現在見られる大手カフェチェーンのほとんどが出揃ってきた。
スタバに限っていっても、2000年代にはその数をきわめて大きく増やしている。これらのお店は「なんとなく街にいたい」「とりあえず座っておしゃべりしたい」というニーズを満たす場所になったのではないか。つまり、都市空間から失われつつあった滞留の場が、民間の営利空間に移行した側面があると考えられると思うのだ。 ■自由な滞留行為が「都市空間→カフェ」へ このように渋谷の街の変遷を追うと、現在の「カフェ混みすぎ問題」の一因が見えてくる。
かつては街の賑わいそのものだった「ぶらぶら歩く」「街の中にいる」といった自由な滞留行為が、都市空間から、民間のカフェへと移ったかもしれないのだ。 これはまだ1つの仮説ではあるが、「街の滞留空間」としての「カフェ」の存在感が増してきていることはいうまでもない。そして、その背後にはおそらく、私たちと街をめぐる大きな問題があるのではないか、と筆者は思っている。 この短期連載では、こうしたアプローチから現在の「カフェ」と「都市」をめぐる問題を、ジャーナリスティックに、かつ歴史的に見ていく。カフェの背後に見える「私たちと都市の問題」に想いを馳せてみたいのだ。
■渋谷駅近辺のエリアにあるスタバの一覧 スターバックスコーヒー渋谷文化村通り店 スターバックスコーヒー渋谷クロスタワー店 スターバックスコーヒー渋谷ファイヤー通り店 スターバックスコーヒー渋谷公園通り店 スターバックスコーヒー渋谷モディ店 スターバックスコーヒー渋谷2丁目店 スターバックスコーヒー渋谷3丁目店 スターバックスコーヒー渋谷マークシティ店 スターバックスコーヒーSHIBUYA TSUTAYA 1F店 スターバックスコーヒーSHIBUYA TSUTAYA 2F店
スターバックスコーヒー渋谷パルコ店 スターバックスコーヒー渋谷cocoti店 スターバックスコーヒー渋谷ヒカリエ ShinQs店 スターバックスコーヒー渋谷フクラス店 スターバックスコーヒーTSUTAYA BOOKSTORE 渋谷スクランブルスクエア店 スターバックスコーヒーMIYASHITA PARK店 スターバックスコーヒー渋谷ストリーム店 スターバックスコーヒー渋谷サクラステージ店 ※公式サイトに準じ、「SHIBUYA TSUTAYA 1F店」と「2F店」は分けてカウントした。筆者のポストで17軒としたのは、以前はここは1店舗でのカウントだったためである。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター