勤続35年以上の大卒サラリーマンなら〈平均1,822万円〉が手元に入るが…退職金の「一時金での受け取り」を安易に選択してはいけない“恐ろしいワケ”【FPが解説】
「一時払い外貨建て保険」は、リスクの高い商品!
運用で元本が減ってしまうのを怖がる人もいます。そこで陥りやすいのが保険というワナです。保険は元本が保証されていると思い込んでいるんですね。 老後資金の運用では、「一時払いの外貨建て保険」をよく勧められます。 一時払いの外貨建て保険で謳う「元本保証」は、外貨での保証です。円で受け取った場合の元本保証ではありません。ここには為替リスクが潜んでいます。円高になったら、受け取れる金額が元本を下回ることもあるのです。 また、円から外貨に、外貨から円に替える際は、為替手数料もかかります。その他にも手数料がかかります。そのうえ、途中で解約すると、元本を大きく割り込むことも。とにかく、リスクの高い商品だと思ってください。 信託報酬の高い商品は、長期投資では失敗する 金融機関が勧める投資信託にも注意が必要です。なぜなら、販売手数料や信託報酬の高い商品が多いからです。 ネット専用の投資信託の中には、販売手数料がゼロで信託報酬が1%以下という商品もあります。老後資金は長期で運用するため、信託報酬は安いほうが有利になります。また、ラップ口座という商品もあります。これまた手数料が高く、しかも二重に手数料がかかってしまい、失敗につながりやすい商品です。 お勧め商品とお得な商品はイコールで結ばれないことを覚えておきましょう。 もし、老後資金を運用したいのであれば、次のことを心がけてください。これは運用の基本です。 ひとつは、分散投資をすること。 よく「タマゴはひとつのカゴに盛るな」と言われます。ひとつに盛ると、カゴを落としたときに全部のタマゴが割れてしまいます。けれど、複数のカゴに分ければ、ひとつを落としたとしても、ほかのタマゴは影響を受けません。これが分散投資の考え方です。 リスクを分散させるわけです。 それから、退職金の全額を一気に投資しないこと。 前述したように、退職金は余裕資金ではなく老後の大切なお金です。底値のときに投資すればいいのですが、上がり切ったタイミングだと、その後は下がっていくこともあります。多大なダメージを被ったら、目も当てられません。時間を分散しながら投資することをオススメします。 退職金での運用を考えているのであれば、退職金を年金形式で受け取り、「つみたてNISA」を利用するのもひとつの方法だと思います。 また、企業年金を生活費に充て、そのぶん公的年金を繰下げ受給するのも賢いやり方です。 長尾 義弘 ファイナンシャルプランナー
【関連記事】
- 再雇用で年収750万円→400万円見込の59歳・定年直前サラリーマン。「やってられるか」と恨み節も…65歳までもらえる!?「特別な給付金」に歓喜【CFPが解説】
- ハワイのはずが近場の温泉旅館に…月収「52万円」退職金「1,900万円」勤続「38年」のサラリーマン、妻に懺悔したワケ
- 〈年金繰下げ受給〉を選んで大後悔!年金月24万円を受け取る72歳・元サラリーマン「ちゃんと調べておけば」…年金受給の“ベストタイミング”は【CFPが解説】
- ありがとう。助かった…退職金額が「300万円以上」も変わる!?年収800万円の定年直前59歳サラリーマンが〈A4用紙1枚の申請書〉に感謝したワケ【FPが解説】
- オーロラ見学ツアーに自宅リフォーム…定年後〈退職金1,000万円〉を使い果たした60代・元一部上場企業サラリーマンが“老後破綻回避”のために画策した年金〈繰下げ受給〉の裏ワザとは【FPが解説】