アイドラが語るデビュー10周年の現在地、海外での活躍、NYをテーマにした特別な新曲
新生I Don’t Like Mondays.のデビュー曲って感じ
KENJI:僕の場合は、そもそものルーツがUKの音楽なので、「New York, New York」はデビュー当時からやりたかった方向性なんです。それが10年経ってようやく形にできたのがすごく嬉しいんですけど、当時と違う感覚で言うと、そのときだからできる若々しさがあるし、今だったら今やれる大人っぽいカッコよさがあると思っていて。あまりがむしゃら感が出過ぎないように、結構音をまびいてシンプルにしつつ、でもちょっと変にしたい。そういう違和感も大事にしながらも、ギターが突き進んでいく感じなので、そこはできる限り抑えてポイントポイントでちゃんとフックになるように意識しましたね。 CHOJI:今回はバンド感を大事にしたいっていうことで、エフェクターを最初からオンの状態にしていて。リバーブとかディレイっていうエレクターをオンにすると、それでレコーディングされてしまうので、そうすると音像が遠くに行ってしまうんです。もっと手前に近づけたいと思っても戻れないわけですよ。それも加味した上で、この音色で行きたいって決め打ちで弾いたのが、僕の中で一番大きなトライでしたね。あと、細かいところにフレーズを入れて行ったのも、今聴いている音楽のフレージングから影響を受けて弾いたりとか。僕が大好きなザ・キラーズっぽいボイシングとか、結構コピーしがいがあるかなって。自分が他のバンドとして聴いたときに「面白いことやってるな」と思える要素をちゃんと詰め込めたなと思います。 ─仰る通り、かなりディレイが効いて存在感は立っているんですけど、どこか爽やかで透明感がありますよね。 CHOJI:透明感が出ているのは、僕の使ったリバーブのおかげかもしれないですね。今回はマイク選びから結構こだわっていて、そういう意味ではギターとアンプとエフェクターで完結するというよりは、録る音のマイクとか、空間の感じとかも話し合いながら狙っていけたことで1つ自信がつきました。 ─疾走感とその綺麗な印象だったりもありつつ、ちょっと男っぽい武骨な感じもある気がして。 CHOJI:サビのコード進行が結構変わっていて、それも男っぽいロック感に繋がってるのかなと思います。あとは、ファズというエフェクターがあるんですけど、今回はファズ大会ということでドイツのファズとかいろいろと並べて試したんですよ(笑)。それをブラインドで「あ、コレがいい」とか確かめていったのが、男っぽさに繋がっているのかもしれないですね。 ─YUさんは歌う上で、どんなことを大事にされましたか? YU:今までは緻密に歌い方を決めてからレコーディングに臨んでいたんですけど、今回は「ここはこうしよう」と考えるよりも感覚で歌っていて。強いて言えは、サウンドに合わせて自分もバーンってやっちゃうと、僕らが望んでるサウンド感にはならないので、あえて内に秘めて歌うのを意識しました。とはいえ、ただ淡々と歌うんじゃなくて、内に秘めてるのを歌声で表現して歌うのは心がけたポイントですね。 ─曲調やサウンドは爽やかな印象なんですけど、歌詞を読むと別れた彼女を思い浮かべる切ない焦燥感を感じたんですよね。つまり、この曲は歌詞と音にいい意味でギャップがある。しかもこのサウンドに乗せて歌うことで、ウェットになりすぎないというか、しんみりしすぎない感じがすごく面白かったです。 YU:そこに気づいていただけたのはすごく嬉しいです! ニューヨークという街を、歌詞の中でどう登場させるのがベストなんだろう?というのは、かなり考えていたところで。主人公はニューヨークにいないんですよ。なぜなら、僕がここにいるので。その場にいないで、あの街を思い出すために、どういう設定にしようか考えた結果、自分の元から離れてしまった彼女の唇がニューヨークを思い出させた<Her lips reminds me New York>というフレーズが、この曲にピッタリだなと。コード進行やUKサウンドっぽい靄がかかったような疾走感の中で歌うっていう、そこのバランスが重要で。いわゆる明るい曲にこの歌詞の内容だと絶対にダメだったし、本当に偶然の産物でした。 ─今作は以前から温めていたニューヨークを舞台にした楽曲であり、10周年イヤーのリリース第1弾という、バンドにとって重要な位置付けの楽曲なのかなと思います。 YU:新生I Don’t Like Mondays.のデビュー曲って感じですかね。デビューからの10年は、自分達のスタイルを見つける旅に出ていた。いろんなことをやりながら「俺らはこういうのが好きなんだな」とやってみないと分からなかった。これまでも好きな曲しかリリースしていないので、過去作も全部好きですけど。その中で好きの密度が研ぎ澄まされて、今コレを出したいなってメンバー全員の気持ちが一致した曲が「New York, New York」。10年で築いた土台があるからこそ生まれたわけで。そういう意味では、自分たちの中では新しいデビューシングルだなと思いますね。