熱狂を生み出す「SNS選挙」、その裏にある「盛り上がって」「儲かる」テクニックとは?急がれるネット選挙の法整備
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者) ■ 数で押し切る政治が終わり… 【写真】満面の笑みで官邸入りする石破首相 臨時国会が始まった。 与党が連立を組んでも過半数を維持できない「宙吊り国会」となった衆院選直後から、総理大臣を指名する特別国会の首班指名選挙、そして、その後の与野党の駆け引きまで大荒れとなっている。 以前も述べたように、改選前7議席から28議席まで増えたとはいえ少数野党の国民民主党がキャスティングボートを握り、存在感を見せている。 第2次安倍政権以後、低投票率のもとで、連立与党が高い得票率で290~300議席程度を獲得し、野党は安定的共闘に至らないまま、法案をほぼ確実に成立させられる絶対安定多数を超えていることを背景に、最後は数の論理で押し切る政治がつい先日まで常態化していた。 そのなかで日本政治から現実的な政権交代に裏打ちされた緊張感と与野党を超えた熟議の政治が失われた。 ◎数で押し切る「平成の自民政治」が終わった…来年の国会は予算案から大荒れ、現実味帯びる参院選後の「ねじれ国会」 【西田亮介の週刊時評】| JBpress (ジェイビープレス) その2010年代的政治が終わった。先の原稿では「政治に緊張感と議論がかえってくることが何よりも望ましい」という趣旨のことを書いた。 実際どうか。
■ 隔世の感を禁じ得ない国会に 政治改革については早くも大きな動きが認められる。 まず政治資金を監督する「第三者機関」設置について、公明党は総務省の政治資金適正化委員会の改組を、自民党は立法府への設置を提案するなど政策論争が始まっている(余談だが、筆者は先の通常国会の政治改革特別委員会に招聘され、この問題について意見陳述を行い、そのなかで国会設置案を主張した。使用した資料はこちら(リンク先はPDF))。 さらに、政党が議員個人に寄附する政策活動費については自民党も廃止を、企業団体献金についても減額や廃止を軸とし、遅々として透明化が先送りされていた議員個人に月100万円提供される旧文通費の使途公開を進める模様であることが報じられている。 ◎旧文通費 与党 臨時国会で法改正目指す 野党 政治改革で連携へ | NHK それだけにとどまらない。臨時国会を前に与野党すり合わせが行われ、自民、公明、立民、日本維新の会、国民民主、れいわ新選組、共産が参加し、立憲民主党が主張したことから、会議の冒頭のカメラ撮りのみ認められているのが通例のところ、カメラを入れてフルオープンで実施されたのだという。 ◎異例のフルオープンで「政治とカネ」7党協議 自民は臨時国会前の「擦り合わせ」を打診したが…主張に大きな隔たり:東京新聞デジタル 筆者はたびたびこの政治改革が主張される一方で、まったく具体化せず、すでに決まったことを繰り返し、目新しく主張しているだけだということを岸田政権末期から自民党総裁選、衆院選、石破政権誕生直後まで繰り返し言及してきた。 ◎【矛盾連発の石破首相】掘り下げぬ裏金、開かぬ予算委…石破氏の“変わり身”と無関係ではない新聞・テレビの凋落 【西田亮介の週刊時評】| JBpress (ジェイビープレス) そのことを思えば隔世の感がある。世論と国会における政治改革に関する「機会の窓」が30年ぶりに開かれているといってもよいだろう。 引き続き、予断を許さないが、臨時国会で具体化が相当程度期待できるので、制度の細部がどうなるのか注視していきたいし、気になる点はこの連載でも共有していくつもりである。 その一方で、最近の政治について気になる点もある。