自転車を“後付け”で電動に! 話題のホンダ「スマチャリ」発売後の反応が気になる
SmaChari開発メンバーに今後の展開を訊いてみた!
SmaChari開発メンバーのひとりである服部 真さんによれば、「社内ベンチャーにつきチームは6人のみで、4輪車と2輪車の開発部からエンジニアが集まりました。企画や開発、広報といった業務のすべてを6人でこなすので大変です。しかしそのおかげでアイデアや課題などをしっかりと共有でき、短期間での商品化につながったと思います。開発時は、クロスバイクだけでなく、ロードバイク、折り畳み自転車、サーフボードを運ぶ際に乗るビーチクルーザー、荷物運搬に優れるカーゴバイクといった、多種多様の自転車にSmaChariを搭載してみました。そして、どの自転車にも同じソフトを適用して最適な制御ができる電動アシストを実現しました。これはセンサーのフィードバックに対して、常に的確なアシストを行える制御が完成したことを意味しています」と、SmaChariの汎用性の高さを強調する。 もちろん、モーターやバッテリーなどのシステムは、自転車ごとに最適な部品と配置を行う必要があるが、理論的には、どのような自転車でも電動アシスト化できることが実証されたのだ。 第1弾のRAIL ACTIVE-eについて販売店からは、電動アシスト付のスポーツサイクルとしては反響が良い、というコメントを得ているという。また自転車の展示会では、SmaChariに対して自転車メーカーの関係者の関心が高いそうだ。一方で、ユーザーからは既存の自転車に取付け可能という点が注目され、「いつから市販の自転車に後付けできるようになるのか」という声が多いとのこと。しかし、ホンダとしては製品の安全性を重視し、法規の適合認証を取得することを前提としているため、原則として現時点では自転車メーカーが取付けを完了し、適合認証を取得した製品のみとなるようだ。 その背景には、近ごろ路上でもしばしば見かける日本の法規に適合しない違法電動アシスト自転車の増加がある。それらと混同させることなく、安全なSmaChariを普及させていきたいという開発者たちの想いがあるからだ。 上記の理由からSmaChari第二弾については未定としながらも、徐々にSmaChari搭載車を増やせればと、服部さんは意気込みを見せる。その汎用性の高さを活かせば、自転車メーカーも開発費を抑えて、新たな電動アシスト自転車を展開できるため、商品の低価格化にもつなげることができるので、大きな可能性を秘めているといえる。 ただ私自身は、電動アシスト機能よりもコネクテッド機能に注目する。上記でも述べたが自転車の安全運転対策は、乗り手に委ねられている点が大きい。SmaChariのアプリによる道路上の注意や危険な運転の警告などを行えるようになれば、自転車ユーザーの意識改革にもつながり、より安全な交通環境にも繋げることができる。ホンダがコネクテッド機能を搭載したのも、ホンダが2050年交通死者ゼロに向けた取り組みにとっても重要な役目を担うと考えたからだ。 走行速度が速い自転車は、自動車の先進安全運転支援機能だけでカバーするのは、歩行者保護よりもよりハードルが高い。SmaChariには、安全面でも電動アシスト自転車の未来を変える技術となってくれることを期待している。
文=大音安弘