「光る君へ」月を撮影したのは元NHKのカメラマン!チーフ演出がまひろと道長と月を語る
「現在は北海道に住んでいらっしゃる方で、もともとドキュメンタリー系のカメラマンをされていたとのことですが、自然や天体も撮っていらっしゃって。人工の光が届かないところまで足を運んでいただき、本当にたくさんの月を撮っていただきました。雲がかかっているもの、三日月、半月、満月……。上弦、下弦、大きさのバリエーション、月の他にもタイムラプス(※一定の間隔を空けて撮影した画像をつないで動画にすること)で夜空や雲、北斗七星も撮ってくださいました。月を見るシーンはあらかじめ台本に書かれているので、その時々でどの月にするのかを考えて映像にはめていった感じです」と中島は撮影の裏側に触れる。
月を巡るシーンにおいて、第31回「月の下で」ではまひろと道長が初めて月にまつわる会話を交わした。まひろがふと道長に「人はなぜ月を見るのでしょう」と投げかけ、道長は「誰かが今、俺が見ている月を一緒に見ていると願いながら俺は月を見上げてきた」と答える。ト書きには「決壊しそうな想い」とも。二人が亡き散楽の一員・直秀(毎熊克哉)に思いを馳せる一幕もあったが、このシーンは中島にとっても思い出深いものになった。
「お二人にはアングルを変えながら何テイクもやっていただいてたので大変だったと思いますが、非常に美しくせつなく素晴らしいシーンになったと思います。この日はずっと二人きりの撮影で、セリフも多くてどこも気を抜けず、くたくたになったのではないでしょうか。私は(連続テレビ小説)『スカーレット』で二人しか出ない回を演出したこともあったので、吉高さんと柄本さんに『私はやったことあるよ』って言ったら『そういう問題じゃないから!」と(笑)。『ごめんごめん、私の話はどうでもいいよね』って(笑)」
なお、第31回はまひろに「源氏物語」の着想が降りてくる記念すべきエピソード。道長と月を見上げるシーンはある意味、まひろの節目ともなる重要な場面だった。