歌川広重が描いた「田毎の月」 時代超え人々を魅了する棚田の陰に住民らのたゆまぬ努力
棚田オーナーの米作りを14人のメンバーでサポートする地元農家のグループ「名月会」の柳沢秀一会長(74)は「田は1、2年放っておくと荒れてしまう。メンバーには80代の人も多い。それぞれ自分の田をまわすのも精いっぱい。若い人に入ってきてもらいたいが、担い手がみつからないのが課題」と話す。
■稲が成長すると見られなくなる
毎年、田植え直後の満月前後に、「田毎の月」を撮りに訪れるアマチュアカメラマンの姿があるという。稲が成長してしまうと、水面が隠れて月が映らなくなるからだ。ただし雲が多ければ月は映らない。
今年は満月の前日、21日の夜が晴れになり、苗が生長する棚田に月の姿を映した。天気だけは努力ではなんともしがたい。満月の田毎の月を見るのは、運ということになる。
千曲市日本遺産推進室の担当者は「夜に訪れるときは、足元に気を付けて、安全第一を心がけてください。田に入ったり畔を壊したりすることのないよう注意を」と話している。(石毛紀行)