仮説と検証を使いこなせるチームはここが変わる 部下の自主性を引き出す「連携」の取り方とは
上司=判断する人、部下=決まったことを実行する人、という役割分担をしている組織はまだ多いのではないだろうか。 そのような組織では、上で決まったことを下に実行させるという、強要が必要になる。しかし、強要を続けると、人は受け身になり、しまいには言われたことしかしなくなる。 一方で、上司と部下が連携をとれる組織は、仮説の構築・検証による進化を遂げられるようになる。 連携をとることにはどのような効果があるのか。米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」で艦長を務めたマルケ氏の著書『最後は言い方』から紹介しよう。 【写真を見る】信頼されるリーダーになるための必読書
リーダーとして、メンバーの自主性を発揮させたいなら、連携をとる必要がある。 ■連携をとるとはどういうことか 連携をとるとは、上司、部下を問わず、他者から学び合うということだ。連携をとることには、次のような目的がある。 目的① 現実をより深く理解する まず、現実の理解を深めることがある。これは、動画の一時停止ボタンのような役割を担う。すなわち、いまはどういう状況か、ハリケーンはどこにいるのか、潤滑油システムはどういう状態か、といったことを、他のメンバーと一緒に確認するのだ。
目的② 経緯を互いに確認する また、どのように現状に至ったかを理解するときにも、連携が必要になる。要は、いま起きていることの前に何が起きたかを、互いに確認し合うのだ。これは因果関係を理解するのに役立つ。 連携をとることの3つ目の目的はこれだ。 目的③ よりよい決断を下す 連携をとることは、よりよい決断を下すうえでも有効だ。決断を下すことで、何を信じるかが決まり、それに伴う行動(赤ワーク)に専念できるようになる。
目的④ 適切な仮説を立てる 次の赤ワークにとりかかる(決まったことを実行に移す)前に仮説を立てる。これこそが、連携をとることの重要な目的だ。青ワーク―赤ワーク―青ワーク(決断―実行―決断)のサイクルは、組織に学習と成長を促す。 下した決断は、「やるべきこと」ととらえるのではなく、「試すべきこと」ととらえるほうがいい。つまり、決断したことは仮説だと認識するのだ。 ■仮説の検証と仮説の構築の両輪 決断するモードから実行するモードに移ったときには、すべてのプロセスが実験となる。実験は学習と改善を生む。実験とはそもそも、「直感から始まってそれを確かめること」である。この直感が「仮説」だ。