トランプ氏を待つ世界、貿易や債務などリスク山積-OECD指摘
(ブルームバーグ): 世界経済は、貿易摩擦から戦争、債務問題に至るまで、さまざまなリスクに直面しており、これまでの「目覚ましい回復力」が脅かされる恐れがあると、経済協力開発機構(OECD)が指摘した。
ドナルド・トランプ氏の米大統領就任を数週間後に控えて、OECDは世界経済がこのところ経験している安定成長とインフレの沈静化を称賛する一方で、重大なリスクが地平線上に潜んでいると警告した。
OECDは経済見通しで、世界経済が2025年と26年にそれぞれ3.3%拡大すると予測した。
チーフエコノミストのアルバロ・ペレイラ氏は報告書で「全体として堅調なパフォーマンスが地域や国の間の相当大きな違いを覆い隠しているが、重大な下方リスクと不確実性が世界を取り囲んでいる」との認識を示した。
「貿易摩擦と保護主義の台頭、地政学的な対立激化の可能性、一部諸国における困難な財政政策に関連するリスクが高まっている」と分析した。
貿易障壁強化を公約に掲げたトランプ氏が次期米大統領に選ばれて以降に世界経済見通しを発表した主要な国際経済機関はOECDが最初。
次期米大統領が世界情勢に与える影響は大きいが、OECDは267ページの報告書の中で名指しでトランプ氏に言及することはせず、関税導入の可能性による悪影響のリスクに関するコメントに限定している。
「貿易を巡る緊張感の高まりと保護主義へのさらなる動きは、サプライチェーンを混乱させ、消費者物価を上昇させ、成長に悪影響を及ぼす可能性がある」とペレイラ氏は警告。「同様に、地政学的な緊張と紛争の激化は、貿易とエネルギー市場を混乱させ、エネルギー価格の上昇を招く恐れがある」と続けた。
さらに、政治家や中央銀行の決定が現在は特に重大な結果をもたらす可能性があることを強調。
「現在の局面では、リスクを管理し、より強く弾力性があり持続可能な成長の可能性を解き放つために、政策が果たすべき役割は極めて大きい」とした上で「そのためには、金融、財政、構造のすべての面で協調した政策が必要だ」と論じた。