滋賀県が東京都心に構える「アンテナショップ」在り方検討へ 売り上げ過去最高なのに、なぜ？
滋賀県は、東京・日本橋の情報発信拠点（アンテナショップ）「ここ滋賀」について、建物の賃貸借契約が期限を迎える2026年度末以降の在り方を考える懇話会を今秋、立ち上げる。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ拠点での売り上げは昨年度、過去最高を更新。明るい兆しがある一方、売り上げ・来館者数ともに目標を下回る状況が続いており、節目に合わせてふさわしい役割や機能を検討する。 【写真】ここ滋賀の屋上には「琵琶湖のパノラマ」が ここ滋賀は17年秋、県が近江商人ゆかりの地に開設した拠点で、1階では地酒や湖魚の加工品など特産品を販売し、2階には近江牛などの地元食材を生かしたレストランを備える。運営は民間に委託しており、県支出の関連費用は年1億円超の拠点賃料を含めておおむね年2億円に上る。 首都圏市場に湖国を売り込む場として期待とともにスタートしたが、開設3年目からコロナ禍が直撃し、20年度の来館者数は前年度の半数近くに落ち込み、売り上げも約4割減少した。昨年度は、近江牛を使った料理と飲み放題のセットプランを秋から導入するなど苦戦が続く飲食部門のてこ入れも図り、売り上げは19年度比約1割増の1億7053万円とV字回復を果たした。来館者数も42万4656人と前年度より2割超増えたが、19年度には届かなかった。 県は、常駐の観光コンシェルジュを通じた誘客や、首都圏メディア向けの情報発信などを含む昨年度の「経済効果」を11億1655万円と算出。運営方針で掲げた目標額（10億900万円）を上回ったとするが、売り上げ単独の目標達成率は75・8％にとどまる。 近年は電子商取引（EC）の普及や、ふるさと納税の寄付の拡大など、首都圏の消費者の傾向にも変化がみられる。県は懇話会について、地元観光事業者や首都圏の関係者といったメンバーで方向性を議論し、来年度中に結論を出したい考え。ここ滋賀の光明祐信副所長は「近年はコミュニティーづくりの場を設けるなど新たな機能を備えたアンテナショップが登場している。リアルな店があるからこそできることや、役割を考えていきたい」とする。
