V6挑む拳四朗は予約の取れない焼肉店7万円勝負飯で8回KO宣言
27歳。およそ10キロを落とす減量は楽ではないが、今回は普段から多めの水の摂取を心掛け直前に、その水分を抜く「水抜き減量法」を取り入れた。 「ストンと落ちた。体脂肪も下がっているし、経験を積みうまくなってきた」 これまで計量2日前まで体重を落とすために動かねばならなかったが、今回は2日前から疲労を抜く休養に当てることができた。その分コンディションアップにつながる。 対戦相手のタコニンは32戦28勝(22KO)3敗1分の戦績を持つ高いKO率のハードパンチャーである。3年前には、拳四朗と2度戦ったガニガン・ロペス(メキシコ)に挑戦して判定負けを喫しているが、やはりボクサーにとって一番怖いのはパンチのある相手。だが、拳四朗は、自信のKO宣言をした。 「当てて、避けて、当てて、当てての攻防を増やして相手のメンタルを削って流れの中で倒したい。テレビに長く映りたいからあんまり早く倒すのもねえ。8回ぐらいに倒せたら」 3試合連続のKO防衛を続けてきたが、昨年末のV5戦は倒せなかった。 タコニンは「拳四朗の出方にもよるがインファイトでプレッシャーをかけたい」と接近戦を仕掛ける考えを明らかにしており、そこへ強引に倒しにいくとリスクのある相手。だが、1戦ごとに磨きがかかる多彩なジャブと、ボディを軸に試合を組み立てていけば、どこかでKOチャンスが転がってくるだろう。だが、指名試合は内容よりも結果。KOは意識せず根気よく拳四朗のボクシングを1ラウンドから積み重ねることが必要になってくる。 その先には野望がある。 「今後も強い奴とやって自分を磨いていけたらなと。防衛記録もそうだが、統一戦を視野に入れている。どんどん強い奴とやって知名度も上げていけたらなあと思うし強くなった姿を皆さんに見てもらえれば凄くうれしいです」 元WBC世界バンタム級王者の山中慎介でさえ、あと1勝が届かなかった具志堅用高氏が持つ13度の連続防衛記録と統一戦の野望だ。 初防衛に成功したばかりのWBA世界ライトフライ級スーパー王者、京口紘人(25、ワタナベ)もターゲットの一人。京口の次戦は指名試合となるが、大学時代に拳を交えたことのある京口との日本人対決は注目を集めるだろう。 童顔の笑顔と両手のVサインが拳四朗のトレードマーク。サービス精神旺盛で、常にマスコミに話題を提供してくれる陣営の姿勢も素晴らしい。そして拳四朗は可愛い顔をしながら、実は、1戦ごとにしたたかに逞しさと実力を高めつつあり、ついに「強い相手」という言葉が陣営から飛び出すようにもなってきた。ある意味、拳四朗は、立派なプロフェッショナルだと思う。村田諒太と同じくホームタウンの大阪で開催される初の世界戦で新たな進化の姿を見せてもらいたい。 計量後の儀式でメディアを楽しませた拳四朗は「夜にまた焼肉に行くんですよ」とニッコリ。どれだけ焼肉好きやねん?!と突っ込むと、いたずらぽく白い歯を見せた。