大谷の5年でのメジャー挑戦は早くないか? プロ野球空洞化への懸念
日ハムの大谷翔平(22)の来年オフのポスティングによるメジャー挑戦が球団に容認されたニュースは、大きな衝撃をもって瞬く間に日米のファンの間に広がった。大谷がもし来年オフにメジャー移籍を希望して、ポスティングにかけられるとすれば、NPB経験は5年で、23歳での挑戦となる。史上最短、最年少でのメジャー移籍となるのだ。日ハムサイドは、メジャー移籍を容認した理由として、この4年間での実績、成長、チームへリーグ優勝、日本一をもたらした貢献度を挙げた。 今季は、10勝&22本塁打という二刀流としてプロ野球史を塗り替える結果を残し、MVPに加えて、ベストナインでは史上初めて投手&DHの2部門でW受賞した。加えて球団フロントトップは「我々も楽しみだし、一番いいときに行かせてあげるべき」という言葉もメディアに発信した。 日ハムファンやプロ野球ファンにとっては複雑な気持ちも残るはずだが、ネット上を飛び交う声のほとんどが、日ハムの英断、球団の姿勢を評価してエールを送るもの。「メジャーでの二刀流を見てみたい」、「いい球団に入った」という声が、「寂しい」、「複雑」、「早すぎる」という意見を上回っていた。 だが、球界関係者の中からは、NPBが空洞化していくことを懸念する意見も出ている。 元西武、ヤクルト監督で巨人OBの“球界大御所”の広岡達朗も「早すぎる」と日ハムの決断を批判した。 「そもそも私はポスティング制度に反対なのだが、いくらなんでも早すぎる。走攻守の3拍子どころか、ピッチャーとしての類まれなる才能を持った大谷は、日本の野球界に革命を起こすことのできる何十年に一人出るか出ないかの逸材である。その選手が、実質二刀流として結果を残したのはたった1年だけで、日本球界を去るのは大きな損失だ。本当の意味で革命を起こしてから挑戦して欲しかった。 ダルビッシュ、田中将大、前田健太と、次から次へと超トップ級の選手が、ポスティングで日本を出ていく現象に歯止めをかけなくては困ったことになる。球団としてFAで出ていかれるよりも、お金儲けをしたいという考え方になるのは仕方がないが、日本はメジャーの選手養成機関ではないのだ。大谷に関しては入団時に約束があり、日ハムはビジネスライクに金儲けをしたい主義の球団だから、特別なのかもしれない。それでも今後も、4年、5年でメジャーに出ていく選手が増えると日本球界はファンの見たい選手がいなくなり空洞化してしまう危険性がある」