パート先の人数が減り、残業が続きました。今年も扶養内に抑えたいのですが、何ヶ月も残業があったら私は扶養を外れないといけなくなるのでしょうか?
扶養の範囲内で働きたいパート社員にとって「年収の壁」は気になるものです。ただ、パート社員の人数が減ったことで、他のパート社員にしわ寄せが及び残業をしなければならないケースも見られます。残業により収入が増えると、扶養から外れる危機感に不安を抱く方も多いようです。人員の確保は事業主の責任ですが、思うように進まないのが現状かもしれません。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある? 今回は、パート社員の収入と扶養の適用要件について考えてみましょう。
扶養には「税金の壁」と「社会保険の壁」の2種類がある
会社員の夫(妻)の扶養に入ると、税金や社会保険の面でさまざまなメリットがあります。ただし、適用されるためには、要件を満たす必要があります。とくに、扶養の範囲内で働こうとする場合には、「税金の壁」「社会保険の壁」といった異なる基準があります。 さらに、パート先の規模やそれぞれの事情にもよるため、複雑で分かりにくいと思っている方も多いのではないでしょうか。まずは、「税金の壁」「社会保険の壁」について確認しておきましょう。 ■「103万円」「150万円」の税金の壁 パート先から支給される給与が103万円を超えると、所得税の負担が発生します。また、150万円を超えると、配偶者特別控除の適用がなくなるため扶養者の所得税負担に影響が及びます。 ■「106万円」「130万円」の社会保険の壁 基本的に、企業において社会保険の加入対象となるのは、常時雇用されている従業員であり、年収130万円を超えると社会保険に加入することになります。社会保険の加入により、健康保険料、厚生年金保険料等の負担が発生します。 ただし、パート社員など短時間労働者の場合には、条件に応じて、具体的には下記すべてをみたす場合に加入対象となります。 1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること 2)2ヶ月を超える雇用の見込みがあること 3)賃金が月額8万8000円以上であること 4)学生でないこと 5)被保険者の総数が常時101人以上の事業所であること 上記5)については、2024年10月以降は51人以上の事業所に適用が拡大されます。 また、「106万円の壁」とは、月額8万8000円を年額で計算した金額が根拠となります。