birdが25周年記念ライブで見せつけた、圧倒的な高揚感と開放感
birdが2024年9月27日(金)、アニヴァーサリー・ライブ「bird ”25th Anniversary Best 2024” Live !」をBillboard Live TOKYOにて開催した。オフィシャルレポートを掲載する。 【画像】ライブの様子(全16枚) 圧倒的な高揚感と開放感。birdの音楽をひとことで表現するならば、そんな言葉が頭に浮かぶ。1999年に名曲「SOULS」で衝撃的なデビューを果たし、R&Bディーヴァ・ブームを牽引し、時代の波をかいくぐりながら現在に至るまでぶれることなくソウルフルな歌を聞かせてくれる存在。今年25周年を迎え、リエディット・ベスト・アルバム『25th anniv. re-edit best + SOULS 2024』をリリース。そのアルバムを引っ提げて、発売日当日にはホームともいえるBillboard Live OSAKA、9月27日(金)にはBillboard Live TOKYOで行ったアニヴァーサリー・ライブでは、彼女の「圧倒的な高揚感と開放感」をあらためて見せつけられた。 オンステージのメンバーはドラムスのGENTAを筆頭に、気心知れた名うてのミュージシャンたちだ。ベースの澤田浩史、ギターの樋口直彦、キーボードの渡辺貴浩、コーラスのHanah Spring。タイトなビートとともに始まったオープニング・ナンバーはアルバム『vacation』から「ハイビスカス」。ダンサブルなサウンドに乗せて伸びやかな声が聞こえてくると同時に、一気にテンションが上がる。そして、立て続けにブラジリアン・ビートを伴ったMONDO GROSSOへの客演曲「LIFE」へとなだれ込んだ。いきなりのキラー・チューンに大きな歓声が沸き、自然と手拍子が会場に響き渡る。 「今日は25周年記念ライブなので皆さんと楽しみたい」という短いMCの後、サード・アルバム『極上ハイブリッド』からムーディーな「flow」、そしてデビュー・アルバム『bird』からメロウな「君の音が聴こえる場所へ」と続く。絶妙なミディアム・テンポの心地良さはこのバンドならではだ。Hanah Springのコーラスがbirdの溌溂としたヴォーカルと見事に絡み合い、このあたりの繊細な質感を表現できるのは、彼女のキャリアの賜物と言っていいだろう。 そして、ここから一気にエンジンがフルスロットに。セカンド・アルバム『MINDTRAVEL』から、アッパーなナンバーを2曲連発。原曲では打ち込みのリズムがクールに響く「マーメイド3000」だが、そのニュアンスを崩すことなくダイナミックなダンス・チューンに仕上げたバンドの力量に圧倒される。そして、ギターのカッティングからファンキーに始まった「マインドトラベル」では、思わず踊り始める観客まで現れ、一気にライブはピークを迎えた。 メンバー紹介の後、冨田恵一がプロデュースしたアルバム『Lush』収録のメロディアス・ナンバー「明日の兆し」で少しクールダウンした後、エレクトリックピアノのイントロに乗せて「次の曲は一緒に歌って欲しいな」と言って始まったのが、デビュー曲の「SOULS」。先日の「THE FIRST TAKE」でも披露されたナンバーだが、「本人が本当にたくさんのアレンジされたバージョンでライブをしている」とコメントしていた通り、全く違ったしっとりとしたアレンジで始まって歌い始めると、なんと客席フロアにマイクを持って下り、練り歩きながら熱唱する。birdはマイクのコードが届く限界のところまでと、2Fまで上がって普段ビルボードライブ東京ではあまり見ることのできないところまでファンのもとへ出向いて、時折、観客にマイクを渡し、サビやコーラスを歌わせることでじわじわと一体感が生まれていく。いつしか大合唱となって、会場全体が幸福感に包まれていった。 ここからは再びボルテージが急上昇。ブラジリアンとスパニッシュが合体したような「BEATS」の強烈なビートで盛り上がり、そのまま「THE FIRST TAKE」で最近公開されたばかりのラスト曲「空の瞳」と、デビュー・アルバムからのヒット・ナンバーを息つく間もなく歌い上げていく。25年前に生み出されたこれらの楽曲が、今もなお身も心も揺さぶってくれるなんて、本当に素晴らしいことだと感じる。グルーヴ感たっぷりのバンドの演奏もさることながら、天に届くかのような抜けのあるbirdのヴォーカルのパワーに酔わされた。 アンコールでは、新しいアルバムがもうすぐ完成するという嬉しいアナウンスがあった後、「季節の曲を歌います」と言って、『MINDTRAVEL』に収められた隠れ名曲「9月の想い」を披露し、ブルージーで少しセンチメンタルに締めてくれた。 25周年という節目のライブは華々しい雰囲気で終わったが、birdにとってはあくまでも通過点のひとつでしかないのだろう。たしかに長年のファンにとってはうれしい選曲のセットリストであり、アニヴァーサリーらしい盛り上がりを見せてくれたし、お祭り的な要素を感じるライブだった。しかし、すでに新作が準備されているということからも、すでに彼女は未来を見据えて前に進んでいる。25周年を経たbirdがどのような音楽を届けてくれるのか、デビュー時から変わらない「圧倒的な高揚感と開放感」に満ち溢れたライブを体感してますます楽しみになった。 Text 栗本斉 セットリスト bird ”25th Anniversary Best 2024” Live ! 2024.9.27 Billboard Live TOKYO 1. ハイビスカス 2. LIFE 3. flow 4. 君の⾳が聴こえる場所へ 5. マーメイド3000 6. マインドトラベル 7. 明⽇の兆し 8. SOULS 9. BEATS 10. 空の瞳 EC1 9⽉の想い <リリース情報> bird デビュー25周年記念ベスト盤『25th anniv. re-edit best + SOULS 2024』 定価:3500円(税込) ※好評発売中 =収録楽曲= 1. SOULS (Main) 【2024 re-edit】 2. BEATS (Original) 【2024 re-edit】 3. マインドトラベル【2024 re-edit】 4. マーメイド3000 【2024 re-edit】 5. 桜 【2024 re-edit】 6. flow 【2024 re-edit】 7. フラッシュ 【2024 re-edit】 8. ふくらみ 【2024 re-edit】 9. ハイビスカス 【2024 re-edit】 10. 夕暮れの少年 【2024 re-edit】 11. ファーストブレス (Original Ver.) 【2024 re-edit】 12. SPARKLES 【2024 re-edit】 13. パレード 【2024 re-edit】 14. Flowers 【2024 re-edit】 15. RUN 【2024 re-edit】 16. 明日の兆し 【2024 re-edit】 17. タイドグラフ 【2024 re-edit】 18. ミラージュ 【2024 re-edit】 19. 記憶のソリテュード 【2024 re-edit】 20. LIFE feat. bird / MONDO GROSSO 【2024 re-edit】 21. SOULS 2024 Shinichi Osawa ver. ※新録 ※対象店舗の各種購入特典詳細は「birdデビュー25周年特設サイト」からご確認ください。 birdオフィシャルサイト birdデビュー25周年特設サイト
Rolling Stone Japan 編集部