大学生の就職内定率、前年同期比マイナス…売り手市場で10月時点は「決めかねている学生」多数か
文部科学、厚生労働両省は15日、2025年春に卒業する大学生の就職内定率(10月1日現在)が、前年同期比1・9ポイント減の72・9%だったと発表した。人手不足で「学生優位」の売り手市場は続いており、文科省の担当者は「内定を複数手にしながらも、就職先を決めかねている学生がいることが影響した」とみている。
就職内定率は、卒業後に就職を希望する学生のうち、就職先が決まった学生の割合。内定を得ていても、就職先を決めていなければ割合は上がらない。
多くの企業で内定式が行われる10月1日現在の就職内定率は、コロナ禍の影響を受けた21年卒は69・8%まで悪化したが、24年卒はコロナ禍前の水準に近い74・8%まで回復していた。
リクルートの調査(10月1日現在)では、就職希望者のうち、内定を得ている学生の割合は前年同期比3・9ポイント増の95・9%に達している。内定取得者の66%は2社以上の内定を得ていた。
リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は「企業からは採用予定数を満たせていないとの声をよく聞く。企業の採用意欲は高く、国の調査も最終的には前年並みの水準に落ち着くのではないか」と話している。
文科、厚労両省の調査は、全国の国公私立大62校の学生4770人を抽出し、推計した。
10月1日現在の就職内定率は、男子は71・5%、女子は74・5%。文理別では、文系が72・8%、理系は73・1%だった。地域別では、関東が83・6%と最も高く、北海道・東北が61・1%で最も低かった。