JR紀勢線と共生 異業種チームで課題解決へ 和歌山県串本で報告会
和歌山県の紀南地方を走るローカル線「JR紀勢線」と地域社会の共生をテーマに、異業種、大学生が地域の課題解決に取り組む学習プログラムの活動報告会が19日、串本町サンゴ台の町役場であった。7~9月に串本、那智勝浦、太地の各町で現地調査などを行ってきた3チームが、地域の魅力を生かすアイデアを発表した。 【校外学習・教育旅行に補助 利用促進のJR紀勢線新宮~白浜間(和歌山)で新事業の記事はこちら】 JR西日本和歌山支社(和歌山市)、日本能率協会マネジメントセンター(東京都)、南紀白浜エアポート(白浜町)、和歌山大学(和歌山市)が協力して開催する「ことこらぼ×きのくに線」。 「地域に暮らす人々から必要とされ愛される2030年の『きのくに線』の姿を描き、そのために現在から取り組める小さな一歩を提案、実践してみよう」をテーマに、持続的な地域とローカル線の関わり方を模索した。 プログラムには、企業の社員や自治体職員、和歌山大学の学生、JR西日本の社員計18人が参加。3チームに分かれ、約3カ月間で現地研修やオンライン会議を通して地域について学んで得た成果を発表した。 串本のチームは、ロケットをきっかけに、串本で事業を創出したい人をターゲットにした「和(あ)える場」づくりを提案。実現したい思いのある地元住民と、事業を始めるにあたり地元の人の協力を必要とする移住者をつなげる場の実現が必要だと説明した。計画では30年に町内で10事業を創出することなどを盛り込んでいる。 現地調査などで関わった地元の関係者を招き実際に「和える場」を開催。ロケット見学場の最寄り駅である紀伊田原駅(串本町田原)を活用し、町を盛り上げるアイデアを考えたという。次回は紀伊田原駅での開催を計画しており、「地域に暮らす人々から必要とされ愛されるきのくに線を実現したい」と語った。 審査員の一人、JR西日本和歌山支社の富澤五月支社長はオンラインで「この施策を実装するとなるとキーマンがポイント。弊社としてはいかにキーマンとして役割を考えていくのか、地元の皆さんと一緒にどういうことができるのかを考えて具体例を考えないといけないと思う」と話した。 太地のチームは、クジラを核にした研究施設が町にあることを挙げ、研究対象を探す学生が訪れるきっかけと地域に溶け込む足がかりとなる仕組みを提案。那智勝浦チームは熊野古道「大辺路」の活性化を目指し、体験コンテンツの造成を盛り込み、発表した。 審査員の富澤支社長や同支社の芹川至史副支社長、和歌山大の西川一弘教授、南紀白浜エアポートの岡田信一郎代表が各チームの提案を講評し、アドバイスを送った。
紀伊民報