米中首脳会談 サプライズはなく「ディスカッションがよかった」だけ
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米中首脳会談について解説した。
米中首脳会談、国防相会談を開くことで合意
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は、米サンフランシスコ近郊で1年ぶりに対面での首脳会談を行い、国防相会談を再開させることで合意した。一方、台湾をめぐる議論は平行線をたどった。 宮家)米中間で温度差があると思いますが、とにかく会うことは大事です。
バイデン大統領は「ディスカッションはよかった」と言っているだけ ~中国側は「20項目以上の合意ができ、各領域の対話と協力強化で合意した」と成功を強調
宮家)会ったこと自体はいいのですが、バイデン大統領は「最も建設的かつ生産的な議論ができた」と言っています。日本の報道を見ると、会談の結果が建設的で上手くいったように感じるけれど、「議論ができた」と言っているのだから、「ディスカッションはよかった」と言っているだけです。アメリカには、それほど熱意があるわけではありません。 飯田)アメリカとしては。 宮家)一方の中国側は、「20項目以上の合意ができて、正しい選択であった。各領域の対話と協力強化で合意した」と示し、「万々歳」とやっているわけです。「やっぱりね」という感じです。 飯田)「やっぱりね」なのですか? 宮家)11月16日に掲載されましたが、産経新聞「宮家邦彦のWorld Watch」というコラムがあります。締め切りが会談前だったので、書き方が難しくて困りました。 飯田)こういうものは少し前に締め切りがきますよね。 宮家)新聞が出たときには、もう会談が終わっているという最悪のタイミングです。どうしようかと考えて、いつもの手で「何が起こるとは言わないが、これだけは起きない」ということを書きました。
習近平氏の外遊に失敗なし
宮家)まず、「習主席の外遊に失敗なし」と書きました。「失敗」するわけがないのです。失敗しそうになったら、やめてしまえばいいのだから、外遊が実現すれば必ず成功します。その証拠に、新華社通信が「大成功」と報道しているではないですか。それに対して、アメリカ側の発言は必ずしもそうではないので、「習近平の外遊に失敗なし」という予測は当たったかなと思います。 飯田)そうですね。 宮家)次に、中国にとっていちばん大事なのは出迎えです。誰が空港に来るのか。「中国の皇帝様が来るのだから、アメリカは下っ端の役人なんか出すなよ」と考えている。これに対してアメリカは、しっかりとイエレンさんがお迎えに傅いたわけです。 飯田)財務長官の地位は、序列的にも偉いのですか? 宮家)偉いです。これはOK。しかし、では会談にサプライズがあるかと言うと、サプライズはないわけです。