慶大・清原正吾(22歳)の指名はある? ドラフト直前、スカウトが語る“ホンネ”は…「入団したら使わないわけにいかない」「そこが一番悩ましい」
「誰が清原さんに挨拶に行くんだ」
今さら言うまでもなく、大選手・清原和博氏の息子さんである。 「正直、そこがいちばん難しいんです。そりゃあ、1位や2位でいくんなら、誰が交渉に行っても、胸張って会いに行けるでしょうけど、実力的にそれはない。じゃあ、下位で指名したとして、誰が清原さんに挨拶に行くんだ、お前が行け、いやお前が行け……みたいな」 なんだか、人間くさい話で、人情としてはすごくわかるような気がする話である。 「プロ野球っていう世界は、<格>が大事なんです。格とか顔とか、たとえばマウンドとバッターボックスで向き合った時に、目が合って、もうそれだけで『負けた……』っていう。そういう関係って、現役上がったあともずっとそうなんですよね。残念ながら今、スカウトとか編成をやっている人で、格で清原さんと五分に渡り合える人、いないんじゃないですか」 わかる話だ。いかにもありそうな話ではあるが、しかし、そうしたことで、これだけの才能の未来が閉ざされてしまって、ほんとにそれでいいのか。 今、プロ野球のスカウティングの現場には、プロ野球選手出身者ではない、これまでの因習にとらわれない感覚の持ち主も、ずいぶん増えてきたように思う。 そんな話、筋としておかしいだろうと、立ち上がる者はいないのか。 これまでの球歴がどうであろうと、「球児の親父には変わりないだろう」とプロ球団の代表として、臆せず「評価」を伝えに行ける者がいなくて、どうする。 この夏から秋のリーグ戦にかけて、慶應義塾大・清原正吾選手は3本の本塁打を放った。 8月31日、東京六大学選抜チームの一員として、日本ハムの2年目左腕・山本晃大投手(関西学院大)の内角速球をレフトポール際に、まず1本。進藤勇也捕手(上武大)が構えたミットに、そのままきまりそうだった左腕特有のクロスファイアーを見事にさばいた。左腕を伸ばして打っていたら、どん詰まりだったはずのきびしいインコースを、左腕をたたみ込むようにして、ライナー性の打球が切れずにレフトポールの右へ楽々届いた。 9月28日、東京六大学・対明治大戦、1点リードされていた9回二死から、今度は、バックスクリーン左へ同点本塁打。起死回生の一打に、高い実戦力をにじませて、翌週の東京大戦では、アンダーハンドの緩いカーブに、やや泳がされながら、神宮球場のレフトスタンドに持っていった。 中学、高校、大学……ずっと野球を続けてきたバットマンでも、バットヘッドで引っかけてファールにしかならないカーブを、逆にヘッドを走らせて真っすぐな打球にしてみせた。
春から秋…わずか7カ月で見せた成長
すっかり、野球選手らしくなった。いや、バットマンとして、すごくレベルアップしてきた。今年4月以降、わずか7カ月ほどの公式戦で、ここまでの「とっさ力」という高い技術を身につけるとは。 大谷翔平のあれこれにも本当に驚かされるが、それならば、清原正吾の近況にも、みんながもっと驚いてよい。 人材がいない、いないと嘆きながら、これほどの逸材を「その程度の理由」で放っておくとしたら、日本球界にとって、こんなに勿体ない話もないだろう。 ドラフトおよそ10日前、いまだプロ球団からの調査書が思うように届いていないらしい……という噂を耳にしながら、そんなことを思っている。
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
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