がん細胞だけを壊す 県内初の光免疫療法 長崎大学病院の西講師
長崎大学病院耳鼻咽喉科の西秀昭講師は6日、のどの奥の下咽頭がん患者に光免疫療法による治療を実施した。がん細胞だけに吸着する薬剤を投与した後、患部に光を当ててがん細胞だけを壊す画期的ながん治療法で、県内の医療機関で実施されたのは初めて。 光免疫療法は米国立衛生研究所の日本人研究者が開発。2020年に世界に先駆けて日本で頭頸部(けいぶ)がんを対象に薬事承認された。抗がん剤治療や免疫療法などに続く「第5のがん治療法」とされる。 薬剤と光照射機器を楽天メディカル(東京)が提供。現在は手術で切除できないか、再発した頭頸部がんが保険適用される。治療は専門医に限られ、各施設で最初の3例については日本頭頸部外科学会の承認が必要。薬剤は1回約400万円と高価だが、高額療養費制度が使える。 同社によると、10月末時点で46都道府県約170カ所で治療提供されており、約700回の治療が実施された。本県では長崎大学病院と佐世保市総合医療センターで治療提供される。 西講師によると、治療を受けたのは下咽頭がんの高齢男性。準備も含め約2時間の治療で、光照射機器を使い、がんを取り除いた。 西講師は「知見を増やしながら、今まで治療をあきらめていた患者さんに使ってもらい、一人でも多く治る人が出てくるとうれしい」と話した。