特殊詐欺捜査課の巡査部長を懲戒免職 高齢者の被害品を不正使用疑い
特殊詐欺事件の被害品の電子マネーを不正に使用したとして、大阪府警は7日、特殊詐欺捜査課の男性巡査部長(42)を懲戒免職処分とし、電子計算機使用詐欺容疑で書類送検したと発表した。 【写真】電子マネー不正使用容疑の概要 巡査部長は処分について「詐欺被害者に申し訳ないことをした。警察官としての自覚が足りなかった」としつつ、送検容疑については「詐欺被害を防ぐためだった」と話しているという。 監察室によると、巡査部長は茨木署で特殊詐欺事件の捜査を担当していた昨年12月~今年2月、高齢の被害者2人が容疑者側の指示で購入した電子マネーのカードのコードを自分のスマートフォンで読み取り、計約80万円分を使用できる状態にした疑いがある。このうち約1千円分は、スマホゲーム代などの支払いに使われたという。 カードはコンビニエンスストアなどで売られ、コードを介してチャージした金額分がネット上の支払いに利用できる仕組み。被害者2人は容疑者側にコードの写真などを送っていたが、悪用されずに済んだものもあったという。 ■着服の意図は否定 巡査部長はこうしたカード情報が記録された捜査資料を自宅に持ち帰るなどしてチャージを重ねた疑いがあるが、「残高を確認し、犯人側に使われるのを防ぐためだった。チャージ分は返済するつもりだった」などと着服の意図は否定しているという。 ただ、府警はこうした対応を認めておらず、チャージした事実を上司に報告していなかったことなども重くみて、書類送検の際に起訴を求める厳重処分の意見をつけた。 巡査部長が今年3月から所属する同課は、特殊詐欺の対策強化のため2022年に発足した。不正使用の疑いは、被害者2人に関係する事件捜査の過程で今年4月以降に発覚したという。 津川浩徳・監察室長は「警察に対する信用を著しく失墜させる事案で誠に遺憾。職員に対する指導教養を徹底し、再発防止に努める」とのコメントを出した。府警の懲戒処分者は今年10人目。
朝日新聞社