「BYD シール」発売開始。標準装備が豊富なミドルセダンはテスラモデル3と真っ向勝負
徹底したローカライズによる使い勝手の良さが魅力
2024年6月25日、BYDジャパン(BYD Auto Japan)はフラッグシップEVセダンの「シール(SEAL)」を発売、7月末からデリバリーがスタートする。 【写真】BYD シールの内外装を詳しく見る かねてより日本への導入が公式にアナウンスされていたBYDの海洋シリーズセダン「シール」が発売された。 アザラシを意味するその名のとおり、曲線と曲面を基調としたボディラインやひげのように4本の線状に配置されたデイタイムランニングライト、ゴマフアザラシの模様のようにも見えるテールランプのドット柄、耳の穴ような形状のフェンダースカットルなど、モチーフの要素を感じられるデザインとなっている。 インテリアも同様に曲線的で、コックピットにおいて直線的なラインはメーターとセンターのディスプレイ、バックミラーくらいしか見受けられない。それほどまでにデザインコンセプトが徹底されている。 また日本市場向けにローカライズされていることも特徴のひとつで、左ハンドルがベースの輸入車でありながら国産車と同様にウインカーやヘッドライトなど灯火類の操作レバーはハンドルの右側、ワイパーレバーは左側に配置されている。ディスプレイに表示される言語も日本語フォントを使用した読みやすい表記になっている。 急速充電は日本のCHAdeMO方式を採用して105kW出力までの充電器に対応する。搭載されるリチウムイオンバッテリー容量が82.56kWhだから、30分で容量の半分以上が充電できることになる。ふたつあるグレード展開のうち、RWDシングルモーターのシールは満充電で640km、四輪駆動ツインモーターのシールAWDは575kmの航続可能距離となっている。 BYDが従来から採用してきた独自のブレードバッテリーをシールにも搭載しているが、これはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーと呼ばれる種類で、三元系(NMC)リチウムイオンバッテリーよりも長寿命で、熱暴走や発火しにくい性質を持つ安全性の高い電池として知られている。その反面、エネルギー密度は比較的低い(サイズに対するバッテリー容量は小さい)のだが、セルを板(ブレード)状にして多く搭載することでこの弱点を克服している。 この大容量バッテリーを活かして外部の電化製品に給電できるV2L機能(要オプションのアダプター)、自宅のV2Hシステムに接続して蓄電池としても活用できる機能も搭載するなど、EVとしての使い勝手が作り込まれている。このほかにも、一般的にはオプション装備扱いのパノラミックガラスルーフやハイエンドオーディオシステム(DYNAUDIO/12スピーカー)、ハンドルヒーターを全グレードに採用するなど、標準装備が豊富な点も特徴だ。 ボディサイズは全長4.8mでDセグメントのセダンにあたるのだが、実は日本にこのクラスのEVはまだ少なく、しかも車両価格はテスラ モデル3/モデルYと同程度に設定されているため比較対象になることは間違いなさそうだ。 【BYD シール ラインナップ】 シール(1モーター/RWD):528万円 シールAWD(2モーター/4WD):605万円 【主要諸元 BYD シール】 ・全長×全幅×全高:4800×1875×1460mm ・ホイールベース:2920mm ・車両重量:2100kg(2210kg) ・モーター:後1モーター(前1モーター+後1モーター) ・フロントモーター最高出力:-kW/-ps(160kW/217ps) ・フロントモーター最大トルク:-Nm(310Nm) ・リアモーター最高出力:230kW/312ps ・リアモーター最大トルク:360Nm ・バッテリー総電力量:82.56kWh ・WLTCモード航続距離:640km(575km) ・駆動方式:RWD(4WD) ・タイヤサイズ:235/45R19 ※( )内はシールAWDのもの