紅葉の渓谷、丘に並ぶ巨石群… 爽やかな風感じ絶景堪能 マゼノミステリーロード・南小国町
南小国町教育委員会が依頼した日本ペトログラフ協会の調査で、巨石の一部にペトログラフ(石刻文字)が刻まれていることが確認された。のどかな牛の放牧地が「太古の巨石文化遺跡」とされたことで、状況が一変する。全国からの見物人が後を絶たず、多くのごみが捨てられることが問題になった。そのため地区民が、NPO法人「押戸石の丘」(下城孔志郎理事長)をつくり管理。管理棟や遊歩道などを整備して、2011年から一般公開を始めた。 巨石群の不思議は、まだある。最大の石の頂点には北極星があり、方位磁石を近づけると方位が狂う現象が起きる。「はさみ石」という石には中央に隙間があり、その隙間から夏至に太陽が昇り、冬至に太陽が沈むという。高原を渡ってくる風を受けながら、意味ありげに並んでいる巨石群を眺めていると、何か神秘的な気持ちになってきた。 丘の頂上から見える360度パノラマの景観も見応えがある。9万年前の阿蘇火山の巨大カルデラ噴火でできた火砕流台地が延々と広がっている。はるか向こうに九重連山や涌蓋山[わいたさん]、祖母山も見える。
国内外から訪れる観光客は年間約3万人。下城理事長(64)は「巨石群を含む景観は毎年、野焼きをすることで成り立っている。今の景観を保ち、次の世代に引き継いでいきたい」と話している。 新名所「小萩山草原テラス」 阿蘇の原野や山々がパノラマで見渡せるウッドデッキ「小萩山草原テラス」が南小国町の新名所になっている。 設置場所は、同町満願寺の田の原温泉入り口から丘陵地を登った丘の頂上付近。町観光協会田の原支部が2022年、「絶景を多くの人に楽しんでほしい」と造った。デッキは約10メートル四方で、丘から突き出たような構造になっている。天気と見通しが良ければ、正面に阿蘇五岳の涅槃[ねはん]像がくっきり見える。黒川温泉や田の原温泉の温泉宿もよく分かる。近くには、縁結びの神様で知られる小萩山稲荷神社もある。 この日は、北九州市から訪れたオートバイのライダーたちが「すごい」「最高の景色」と言いながら、ずっと眺めていた。
◇マゼノ渓谷 環境整備費として1人300円(中学生以下は無料)を徴収。雨天の場合は閉鎖も。駐車場あり。 ◇押戸石の丘 環境整備費として1人200円(中学生以下100円)を徴収。方位磁石は無料で貸し出している。駐車場あり。 ◇小萩山草原テラス 田の原温泉入り口から「小萩山稲荷神社」の看板に従い、車で約15分。無料。駐車場あり。 ※問い合わせは、いずれも南小国町観光協会☎0967(42)1444。