令和ロマン・ケムリに“引導”を渡された男が語る「大学お笑いサークルの地殻変動」と「成功者たちの共通項」
「今以上に誰かを傷つけていたと思います」
無職さんがここまで深い感謝をするのは、自身の性質がよくわかったためだという。 「芸能界でもそうですし、一般社会においてもそうですが、自分が他人からどのように見えているかを深く考察することなく行動した結果、大きな問題になっている場合がありますよね。 私の場合、特に他者の気持ちを慮れない性質があるため、サークルに入って同期や先輩から指摘してもらわなかったら、今以上に誰かを傷つけていたと思います。 私は今、自分になにができるかをじっくり考えて、無職という動かない選択をしました。この社会で生きるコツや流儀がわかるようになったら、また動き出そうと思っています」 かつて社会のはみ出し者が逆転する手段が「芸の世界」だったのに、今では完全無欠の優等生たちによってテリトリーが奪われていく――という無職さんの指摘は興味深い。 さらにおもしろいのは、無職さんがお笑いスターたちに対して尊敬がある点だ。本物のスターは周囲の僻みや嫉妬すら追いつかないスピードで活躍していく。その現実はなんとも残酷で、少し優しい。 取材・文/黒島暁生
黒島暁生