日本の職人がインドで寿司を披露...現地シェフを愕然とさせた「ホンモノの味」
寿司職人の小川洋利さんは、日本のすし文化を全世界に広めるため、世界50カ国以上にわたって、すし指導員として外国人シェフに調理指導をされています。そんな小川さんがインドで江戸前寿司を作ったところ、現地の調理人たちから拍手が沸き起こったといいます。海外のスシ事情はどんなものなのでしょうか? 小川さんが語ります。 【写真】イギリス人が感激した"日本人の服の畳み方" ※本稿は、小川洋利著『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』(キーステージ21)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
海外の高級ホテル料理長が語った「うちの魚は日本から仕入れているから安全だ!」
インドにも何度か行ったことがありますが、この国では魚がすごくとれます。でも、魚の扱いがまだまだ...。でもしっかりとした知識と技術があれば、日本と同じ料理が作れる可能性があります。 そこで、私が現地の魚を使って、江戸前寿司を作ってみました。市場では40度の灼熱の中で売っている魚でしたが、今までの経験で培った目利きで選んで、仕込みをすれば安全でおいしい寿司が作れました。 すると、日本の駐在員の方が絶賛してくれて、「これが全部現地のものなのか!?」と言って、驚いていました。インドの調理人の方々にも講習会で見せたら、みなさん驚いて会場は拍手に包まれました。 インドで、某高級ホテルの優秀なインド人シェフが挨拶しに来たときに、「うちのホテルは全部日本から魚や寿司ネタを仕入れているんだよ」と言っていました。「ハンドキャリーで、高いお金払って全部仕入れてるんだよ」って、得意げに言っていました。だから、うちは安全だってプライド高そうに言っていましたが、出てきた寿司が鮮度も悪くおいしくなかった。 とても衝撃的でした。彼らは「これは全部日本から仕入れたものだから、最高品質だし、全然危なくないんだ、安全なんだ」とずっと言っている。「セイフティー、セイフティー」って。 ここで私が言いたかったのは、いくら日本から仕入れて鮮度がよくて高級なものでも、扱い方と知識がなかったら危険な食べ物になってしまうということ。 逆にインドみたいな炎天下で、生魚は危ないなと思っていても、知識と技術があれば安全においしいものが作れます。一概に日本から仕入れたから安全だと、鮮度がよいから安全だ、という思い込みは逆に危険です。知識がなければ、一発で危険な食べ物になってしまう。とはいえインドでここまで寿司が普及しているとは思いませんでした。 また、インドの料理人は非常に真面目で、この国の調理師会全体が一丸となって活動をしており、私たち日本も見習わなければならないと実感しました。今後、インドでおいしく安全な寿司が提供できる日は近いと思いました。