「10分・20分構想」アセス見据え基礎調査へ 熊本市の高規格道路3路線整備 自然環境把握、ルート帯を選定へ
熊本市と熊本県が実現を目指す「10分・20分構想」の主軸となる新たな高規格道路3路線について、市が環境影響評価(アセスメント)の実施を見据えた基礎調査に入ることが2日、分かった。自然環境を調べてルート帯の選定などに生かす。 「10分・20分構想」は熊本都市圏の渋滞解消に向けて、市中心部から九州自動車道のインターチェンジ(IC)までを10分、熊本空港までを20分で結ぶ構想。市中心部から北東に延びる「北連絡道路」と南東方向の「南連絡道路」、北連絡道路と空港方面を結ぶ「空港連絡道路」の3路線の整備を目指している。 市は事業規模の大きさから環境影響評価法の対象となることを想定。アセスの第1段階である「配慮書」の作成に備え、11月末に基礎調査の入札を公告した。 受託業者は熊本市内を基本に、配慮書のための調査として動物や植物に詳しい有識者にヒアリング。来年3月末までに結果を取りまとめる予定だ。
市は構想の推進費用として2024年度一般会計当初予算に2億6100万円を計上。市民参加型の道路計画とするため、構想を知ってもらう「オープンハウス」などに取り組んでいる。今回の基礎調査も、この予算を活用する。 一方、熊本市外の調査に関して県は「市と情報を共有しながら発注の必要性を検討したい」としている。 市と県は21年度に今後20~30年間の道路整備の基本となる「新広域道路交通計画」を策定し、構想を明記した。早期の実現に向けた国への要望のほか、有識者委員会による技術的、専門的な検討を進めている。道路整備による環境への影響については委員会でも「検討を進めるべきだ」との声が上がっていた。(臼杵大介) ■環境アセスメント 環境影響評価法に基づき、自然や生活環境に影響を及ぼす恐れがある大規模開発に先立ち、動植物や水質などを調査して影響を評価する手続き。環境への配慮事項をまとめた「配慮書」の後は、「方法書」「準備書」「評価書」を作成。環境アセスには住民の意見も反映させ、事業が環境保全に十分に配慮して実施されるようにする。