【七夕豪雨50年】浸水被害頻発の巴川 静岡市が予測システム精度検証 6時間後の水位、氾濫域算出
1974年の七夕豪雨から50年を迎えるのを前に、静岡市は6月から、浸水被害が頻発している巴川の水位と氾濫域を予測するシステムの運用に向けた精度検証を始めた。激甚化が進む水害に備え、的確な避難情報の発出と住民の早期避難につなげることを目指す。中小河川で予測システムを導入するのは全国でも珍しいという。 巴川流域は直近では2022年の台風15号で大きな被害を受けた。県や市が進める「巴川水系流域治水プロジェクト」の一環で予測システムの導入を目指している。 市は昨年度、巴川流域の11カ所に新たに危機管理型水位計を設置し、予測システムの運用に向けた精度検証の準備を進めてきた。システムでは、流域の幅1メートル以上ある市管理の水路や下水道をコンピューター上で再現し、6時間後の水位や氾濫域を予測する。得られた予測は当面、市の内部で共有し、今後、避難情報の発出に活用する。住民への公開は気象業務法や水防法上の兼ね合いで難しく、共有方法の検討を続ける。 市は市内全域でも水害対策を進める。台風15号で被害が大きかったり、これまでに浸水被害が発生したりした地域の道路や水路といった河川以外の場所116地点に浸水センサーを設置する。センサーは水位の現況把握を補完するとともに、予測システムの精度向上にも役立てられる。市が来年1月の稼働を目指す「災害時総合情報サイト」から確認できる見込み。 予測システム、浸水センサーともに住民の早期避難に結びつけることが狙い。市の担当者は「頻発する水害に対し新技術を積極的に活用することで、市民の生命と財産を守る行動に少しでもつなげていきたい」と話す。
静岡新聞社