九州・山口・沖縄の基準地価変動率

　商業地も、ホテルや飲食店向けとマンション需要が競合して上がっている。九州最大規模となる全532室の分譲マンション（18階建て）を同市東区で建設中のJR九州は「立地で差別化すれば、福岡都市圏（のマンション需要）はまだ伸びしろがある」とする。

　ただ、競争激化による価格高騰で、開発事業者は体力を試されている。今夏に同市南区の土地を巡る入札に参加した九州北部の不動産会社は「落札価格は、我々が想定していた1坪（3・3平方メートル）あたりの単価を100万円上回っていた。手に負えないぐらい高い」（幹部）と明かす。

　天神や博多駅地区を中心にオフィス需要も根強く、不動産サービス大手CBREの江頭秀人・福岡支店アソシエイトディレクターは「新しいビルは建設されるたびにほぼ満室となる。県外からの進出需要も多い」と指摘する。

人手不足が足かせとなる可能性

　商業地ではほかに、コロナ禍からの経済正常化を背景に大分県が33年ぶりにプラスに転じ、長崎県も32年ぶりに上昇した。山口県も31年ぶりに下げ止まった。

　ただ、人口減少や高齢化が進む地域では、地価下落が続いている。また、今後は人手不足が足かせとなる可能性もある。建設作業員も4月から労働規制が強化され、工期が延びて建設費が上がっているためだ。

　不動産市場に詳しいジョーンズラングラサールの大東雄人氏は「円安もあり、日本の不動産市場は海外投資家の関心が高い。だが、工期の遅れはリスクとなり、今後も続くことが予想される」と話している。