THE ALFEE、不動のロック魂に宿る“最長不倒距離”更新への意志 記念すべき日本武道館公演を観て
「発売中止になった頃は、まさかこの曲を武道館100回目でやるなんて思ってもみなかった」
「アンコール」の声が鳴り響く中、客席で次々と点灯されるパープルとブルーのマラカスライト。ステージがネオンカラーの照明に照らされ、再びステージ下から、まさるの「ま」、たかみーの「た」、さかざきの「さき」による“日本の高齢化社会を牽引するジジイアイドルグループ”「またさきトリオ」が登場。夏イベからグッズとして販売したものの、まだ売れ残っているというマフラータオルで作った揃いのコスチュームを身につけ、マラカスライトを振りながら「またさきトリオ」のオリジナルナンバー、そして2023年逝去した谷村新司に届けとアリスの「チャンピオン」、アルフィーのデビュー曲のB面「危険なリンゴ」、西城秀樹の「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」などを披露した。 またさきトリオが去った会場にまずは桜井、坂崎が登場。「LONG WAY TO FREEDAM」では、ひらひらとなびくブルーの衣装を身につけた高見沢がステージ中央からフライングで登場。宙を舞い、歌唱するサプライズ演出に満員の観客が歓喜した。続くは情熱的な赤い照明の中、坂崎のハンドマイク歌唱による「恋の炎」へ。途中、スタンドマイクを傾け歌うめずらしい姿も披露したほか、ゴジラギターを持つ高見沢と背中合わせになるパフォーマンスなどで盛り上げる。サポートメンバーの吉田太郎(Dr)、ただすけ(Key)が紹介され、「We are THE ALFEE!」と叫んだ後は、「今年何回やったかわからない、ずっとやっている、みんな大好き『星空のディスタンス』!」に。メインボーカルを取る桜井がステージ中央で歌い、坂崎、高見沢は縦横無尽に動き回る。テレビ番組出演時は必ずと言っていいほど演奏され、今年も多くの新規ファンを獲得したであろう名曲で1回目のアンコールの幕を閉じた。 程なくして始まった2度目のアンコールでは、高見沢はマンドリンを持ち「THE ALFEE史上最も恐ろしいナンバー」と紹介し、1975年12月、発売日前日に発売中止になった幻のシングル「府中捕物控」を披露。演奏終了後は、「発売中止になった頃は、まさかこの曲を武道館100回目でやるなんて思ってもみなかった。長くやるってこういうことだなと思う」と感慨深げ。100回の感想として「100回はあっという間。1回目は無我夢中だったけどね。」(坂崎)、「やっぱり積み重ねですよね。年に2本しかやっていないのに100回までできるんだよ。これはみんなの力ですよね。一緒に喜びましょう」(桜井)、「伝えたい思いを歌にして、これからもTHE ALFEEはまだまだゆっくりと自分たちだけの道を歩いていこうと思います」(高見沢)とコメントした。 そして、秋ツアーでは演奏されなかった「SWEAT & TEARS」が高見沢のエレキギターの弾き語りでスタート。中央から銀テープが放たれ、会場が明るいままで演奏が続く。まだこんなにパワーが残っているのかと思うほどハードに動きまわる3人。そして客席も負けずに拳を振りあげっぱなしだ。炎の舞い上がる中で3人そろってのヘドバン、演奏終盤には「武道館 MERRY CHRISTMAS」と書かれたウィングハートが客席に舞って、2度目のアンコールが終了した。 翌日12月24日には、101回目の武道館公演を行ったTHE ALFEE。これはイギリスのシンガーソングライター/ギタリストのエリック・クラプトンが持つ日本武道館公演102回に迫る数字だ。ファンと共に作り上げた100回は、まだまだ伸びていく最長不倒距離の通過点に過ぎない。ここからどんな景色を見せに連れて行ってくれるのか。さまざまな活動が展開されるであろうデビュー50周年の2024年を駆け抜け、また1年後、THE ALFEEと共に日本武道館に戻ってこられることを、会場にいた全てのファンが願っているに違いない。
山西裕美
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