米国で日本人「入国拒否」続出、F1ドライバー角田選手もトラブルのなぜ…空港の審査官に“疑われがち”な条件・傾向はある?
「正当な理由、証明するためのエビデンスが必要」
では、実際にアメリカの入国審査で別室に連れていかれるなど、審査官に疑われてしまいがちな条件・傾向はあるのだろうか。 アメリカの入管法に詳しいタイタノ誠弁護士は次のように解説する。 「大前提として、アメリカでは『この人は入国する権利を持ち合わせていないのでは』『不法入国者ではないか』と疑うところから入国審査が始まります。 そのため、入国を希望する人は、正当な理由があると証明する必要があります。 たとえば、旅行であれば、『どこに泊まるのか』『どういった旅程なのか』など目的に沿ったエビデンスが必要です。 ちなみに、角田選手のケースですと、パジャマのような恰好をして入国するというのは、学生などであれば問題なかったのかもしれませんが、ひょっとすると『F1ドライバーと名乗っているのに、らしくない格好だ』と思われたのかもしれません。 同様に、一般の方が入国する場合も、渡航目的と相応の服装で、入国審査に臨んだ方が良いかでしょう」(タイタノ弁護士)
空港や審査官によって“厳しさ”変わる場合も…
ほかにも、過去の渡航歴や、アメリカのどの空港から入国するのかによって、審査に影響がでてくるという。 「テロ防止など、安全保障上の理由から、アメリカの非友好国への渡航歴がある場合には、審査が厳しくなったり、入国を拒否されたりする可能性もあります。 また入国審査の傾向、たとえば特定の属性や国に対する厳しさなどは、空港ごとに変わってきます。加えて、審査官個人の独断と偏見で疑われることもあるのが実情です」(タイタノ弁護士)
ビザの取得、注意すべきポイントとは
渡米する場合、留学やビジネス、90日を超える長期旅行といった目的や、滞在日数などの条件によって、異なる種類のビザを取得しなければいけない場合もある。 その際の注意点について、タイタノ弁護士は以下のように話す。 「ビザを取得する場合も、『偽りの名目で入国し、実際にはアメリカで就労したり不法移民として居ついたりするのではないか』と疑われないよう、ビザの発行を受けるためのエビデンスを用意する必要があります。 エビデンスは、たとえば往路だけでなく、帰路の分を含めた往復の航空券を準備したり、旅先での予定を提出できるよう、紙の資料でまとめておくことなどが重要です。 ほかにも、『資力があり、不法就労のリスクがない』と示すために、預金の残高証明書を提出することが望ましい場合があります。 同様に、『不法滞在のリスクがなく、日本と密接な繋がりがあり、予定している渡航期間終了後には帰国しなければならない』と証明するため、勤務先の雇用契約書や在籍確認書といった書類の提出が望ましい場合もあります」 また、アメリカ旅行の場合には、ビザよりも取得が簡単なESTA(※)を利用し入国する人も多いが、仮にビザが却下されてしまうと、ESTAの発行が認められなくなるという。 ※ ビザ免除プログラムを利用し、渡米する旅行者の適格性を判断する電子システム(在日米国大使館と領事館公式HPより) 「ESTAは、過去のアメリカ滞在や、入国審査などで問題を起こしたことがない人が使用可能な制度です。 旅行だからと、安易にビザを申請し、却下されてしまう人がいるのですが、その場合、ESTAが取得できなくなる可能性がありますので注意してください」(タイタノ弁護士)
弁護士JP編集部