【写真50枚】“ハリポタ”スタジオツアーがクリスマス仕様に! “変身”の仕掛人がその裏側を語る!
諸外国の旅行者が日本を訪れるようになった昨今。お馴染みの名所旧跡に交じって人気の高いスポットのひとつが『ワーナーブラザース スタジオツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター-』。というのも本家ロンドンの『ワーナーブラザース スタジオツアー ロンドン』に次ぐ第二の施設で、世界中にこの2カ所しかないからだ。 【全ての写真】 クリスマスシーズン限定特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」(全50枚) そんな同施設が先日、化粧直ししてクリスマス仕様になった。題して<ホグワーツ・イン・ザ・スノー>(~2025年1月5日まで)! ベースとなっているのは記念すべきシリーズ第1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)に登場するクリスマスシーン。ホグワーツ魔法魔術学校に入学する11歳までクリスマスプレゼントなんてもらったことがないハリーが、初めてのそれ(ちなみに透明マントでした)や親友ロンとお揃いのセーター(映画には登場しない)に大喜びし、たくさんのクリスマスツリーが飾られた大広間でロンとチェスに興じる。ホグワーツ城は美しく雪化粧され、雪を踏みしめて歩くハリーたちの首には寮のシンボルカラーで編まれた暖かそうなマフラーが……。そんな映画に登場したひとコマひとコマを思い出せるように、実際に映画の美術を担当した職人たちが丁寧に再現しているのだ。 エントランス近くには巨大なクリスマスツリーが飾られ、24分の1スケールで忠実に再現されたホグワーツ城も美しく雪化粧。アフタヌーンティーをはじめとした料理や、グッズショップの商品もクリスマス仕様になっていて食欲と購買意欲をそそりまくる。さらに大人気スポットのホグワーツの大広間の長いテーブルには、数々のクリスマスディッシュがズラリ! その料理は『賢者の石』の最後、ダンブルドアが各寮の獲得点数を読み上げるシーンに登場しているものと、シリーズ2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でハリー&ロン&ハーマイオニーの3人が食べているテーブルに置かれているもの。スノーマンが飾られた白いケーキや英国の伝統ケーキ、クリスマス・プディング、定番のローストチキン、フルーツにグリーンピース、ブレッドなどがぎっしり並んでいる。映画同様、ちゃんと小さな箱のプレゼント(しかも、形も包装紙の色も違う!)まで再現されているのが嬉しい。 というわけで今回は、映画ではスーパーバイジング・モデラ―として活躍し、今回の<ホグワーツ・イン・ザ・スノー>でも小道具制作のヘッドを務めたピエール・ボハナ氏の声をお届けします! ――ホグワーツ城にかかる雪が紙でできていると聞いて驚きました。映画でも紙の雪を使用したんですか? ボハナ 映画でも使用したよ。ただし、雪の場合、降らせる対象によって使い分けないといけない。モデルの大きさやスケール感、シチュエーションによってどの方法がいいかを決めることが重要なんだ。そういうのをスノーエフェクツといって、その道のプロ、スノーテクニシャンが手掛けてくれる。一見、簡単そうに見えるかもしれないが、実は熟練のテクニックがいる。雪を降らす対象と雪の種類の組み合わせを間違えると、すぐにニセモノと分かってしまうので、スノーテクニシャンはとても重要な役割を果たしているんだ。 ――ホグワーツの大広間には豪華で美味しそうなクリスマスディナーが飾られています。どういう部分にこだわったのでしょう。 ボハナ 『ワーナーブラザース スタジオツアー ロンドン』でクリスマスを再現することになったとき、最初は『賢者の石』の原作小説に登場するクリスマスを再現しようと考えていた。とはいえ、もっと豪華に見せたい気持ちもあったので、今回のような料理になったんだ。 皆さんに注目してもらいたいのは、『秘密の部屋』に登場する白いクリスマスケーキ。スノーマンが飾られているんだけど、スキーをしていたり雪合戦をしていたり、そのポーズや表情がひとつひとつ違うんだ。ファンの方はぜひともチェックしてほしい。小説のクリスマスシーンそのままではないんだけど、それに準じるかたちで再現しているから。 もうひとつ、言っておきたいのは映画撮影のときのこと。最初はホンモノの料理を並べていたんだけど、時間が経つと痛んでくるし、匂いが充満するので、徐々にレプリカに変更していった。今回もそんなレプリカを使用したわけだけど、それを日本で使うのはちょっと気が引けるよね。レストランに飾られている日本の食品レプリカは本当に素晴らしいから。それを見慣れている皆さんが半分でも認めてくれれば本望だよ(笑)。 ――映画の小道具などを、このスタジオで再現する上でもっとも大変だったことは? ボハナ 映画に忠実に再現することにこだわり、まったく同じものを作らなきゃいけなかった。だから制作に携わったのも、実際に映画でアイテムを作ってくれた人たちなんだ。これはビジュアルの問題だったけれど、こういうスタジオでの展示となると、もうひとつ課題がある。映画の場合は数週間の撮影に耐えられればいいけれど、展示するのであればもっと長く使える耐久性の優れたものにしないといけなかった。制作のプロセスでは、耐久性と堅牢性があるものを強く意識したんだ。 ――記念すべきシリーズの第1章『賢者の石』で個人的にもっとも印象に残っていることがあれば教えてください。 ボハナ すべてが苦労の連続だったけれど、“賢者の石“を作るのが面白かった。本当にたくさんのサンプルを作ったんだ。その石の中に塩の結晶を入れたり試行錯誤しながら、「これだ!」というのがやっと出来上がった。プロダクションデザイナーのスチュアート(・クレイグ)に見せたらとても気に入ってもらえたから喜んでいたにもかからず、後日ダメ出しされてしまったんだ。彼の部屋に行くといくつもの石が鎮座していて、彼がその中からひとつ選び、私たちに「これを赤く染めてくれ」と言って、あの映画に登場する“賢者の石“になったんだんだよ。 私たちの使命はその石をいくつも作ることだったんだが、すべてが同じわけじゃない。それぞれ光が当たる角度によって違う色を発するようにしなければいけなかった。これが大変だったけれど、とても面白いチャレンジになったんだ。 取材・文:渡辺麻紀 <イベント情報> 「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 -メイキング・オブ・ハリー・ポッター」 クリスマスシーズン限定特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」 開催中~2025年1月5日(日) 【実施内容】 「大広間」「ホグワーツ城の模型」の特別装飾 その他、クリスマス・ライトアップ(屋外エクステリア、館内ロビーなど) Warner Bros. Studio Tour Tokyo – The Making of Harry Potter.