戦前は透明だった? 九州豚骨ラーメンのスープが白濁したのは偶然の産物だった【ラーメン官僚】
「替え玉」システムも、九州のごく一部の文化
実は、「博多ラーメン」のお店でよく知られている「替え玉」システムも、九州のごく一部の文化です。「替え玉」が生まれたのは福岡の長浜です。長浜には、海沿いの市場で働く人たちに向けられた、早朝から開いているラーメン屋が数多くあり、忙しい最中、短時間でお腹を満たすことが求められました。「博多ラーメン」の麺量が少ないのも、短時間でサクッと食べられるようにという配慮によるものです。「替え玉」は調整弁ですね。1杯ではちょっと量が少ないという人たちのための。 この「替え玉」が、その他の地域のラーメン文化にはない特徴的なシステムだったことから、「豚骨ラーメンと言えば替え玉」と認知されたわけです。近年、採り入れる店が増えつつあるものの、元々、「久留米ラーメン」や「熊本ラーメン」に「替え玉」の概念はありません。有名な熊本ラーメンチェーンの『桂花』にも「替え玉」はありませんよね。まとめると、多くの方が「豚骨ラーメン」の常識だと思っている「白濁スープ」と「替え玉」は、実は、「豚骨ラーメン」文化の一部に過ぎないのです。 というわけで、「豚骨ラーメン=博多ラーメン」という認識は誤りで「豚骨ラーメン」というジャンルは、想像以上に幅広いということです。例えば、都心部で見かける『北海道ラーメン味源』も、スープは豚骨ベースなので「豚骨ラーメン」です。ちなみに、「家系」や「二郎系」のスープは、醤油ダレの存在を立たせた豚骨ベース。タレに薄口醤油を使えば「博多ラーメン」のスープになります。 殊更豚骨ラーメンだと意識しなくても、豚骨ラーメンを口にしていることもあるのです。 構成/大泉りか 【中編】「家系」「二郎系」の厚い牙城を崩せるか? 九州発信スープが透明な“ニュータイプ豚骨ラーメン”とは、は下の関連記事からご覧ください。
ENTAME next編集部