歌手K 娘とピアノの発表会で連弾も「一緒に弾くことを嫌がられて」2回のステージを経て娘に起きた変化
── Kさんも小さいころからピアノを習っていたんですか。 Kさん:小学生のころ、1週間だけ習ったことがあったんですけど、合わないと思って続けませんでした。ピアノにハマったのは高校生からです。完全に耳コピで。ピアノに対してつらいという経験はなく、好きだからずっと弾いていました。なので、娘たちのようにいわゆる習い事としてのピアノは正直わからないんですよ。僕の場合は、半年後に学園祭で発表するとか、コンサートまでに何曲かピアノで弾き語りをしたいという目標があったので続けてこられました。子どもの習い事もミュージシャンも実は同じで。僕らも出口がないと曲って書けないんです。コロナ禍のときがまさにそうでしたけど、ライブの予定も決まらず、次いつできるのか、お客さんが来てくれるのかわからない状況で曲は書けませんでした。
── 目標がないと熱も入りにくいですね。 Kさん:曲作りは本能でしていることなので、子どもの感覚とすごく似ているなと思います。「これを食べたい、ここに行きたい」と思わないと、子どもって絶対に動かないですよね。身近な目標を親や先生が考えて、球を投げ続けることが大事だと思います。僕も子どもと同じで目標がないと動けないタイプです。
■将来の夢を書いて「先生から呼び出しも」 ── 高校生からピアノを本格的に弾き始め、歌手を目指したそうですね。
Kさん:日本でも子どもが「将来なりたいもの」を聞かれることはあると思うのですが、韓国では高校生になっても紙に書かされる機会が多かったです。僕は「シンガーソングライターになりたい」と書いていたのですが、そのことで先生に呼ばれたことがありました。 高校生になると、ほとんどの子が「どこどこの大学に行きたい」と書くので、先生から「なんで君は大学と書かないのか」と聞かれました。僕はすごくそれが不思議で。夢を書けと言われたから正直に書いたのに、それが大学ってどうなんだろうと。こういう風潮が変わればいいなと思っていました。僕が高校生だったころの話なので今はどうかわかりませんが、変わっているといいですね。子どもたちには、自分の夢を素直に書ける子になってほしいと思いますし、夢があるならどんどん人に言ったほうがいいと思います。それで人からバカにされたり、とやかく言われたりしてもいいです。そこで「見返してやるぞ!」と思う気持ちも大事だと思っています。