箱根駅伝「山の神」出現の予感!國學院大浦野、東海大西田、法大青木の3強対決か
青木涼真(法大)は前々回の区間賞(区間新)。前々回は14位から9人抜き。前回は12位から7人抜き。2年連続でゴボウ抜きを演じて、往路5位のゴールに飛び込んでいる。青木は強豪大学にスポーツ推薦で入るために3000m障害を始めて、法大生命科学部に入学。1年時は8区を走り、法大初となる理系学部所属の箱根ランナーになった選手だ。非常にクレバーで、どんな状況でもレースをまとめるという能力に長けている。本人も「レースで外したことがない」と豪語するほどだ。 前々回はコースリニューアル2年目ということで区間記録を1分02秒も塗り替える1時間11分44秒で区間賞を獲得した。前回は故障で夏合宿を走ることができず、それがレース展開にも影響したという。1時間11分29秒の区間新をマークするも、持ち味である中盤以降を押し切ることができず、区間タイムで浦野と西田に敗れた。 今季は日本選手権の3000m障害で8分36秒65の自己ベストで3位に食い込むなど、充実のシーズンを過ごしてきた。出雲駅伝は3区で11位から8位に順位を上げて、全日本は最終8区で15位から4人抜き。シード権(8位以内)が絶望的な状況のなかでも、区間4位と奮起した。 「前々回は何も考えずに区間賞が取れちゃったという感じでしたが、前回はそれでは勝てないことを実感しました。浦野君、西田君も駅伝シーズンに入って、さらに力をつけてきた印象です。僕も陸上人生で初めて故障なく夏合宿を過ごすことができましたし、4年間で一番手応えがある。箱根では区間賞と区間記録を取り返したいと思っています。浦野君、西田君が1時間9分台、8分台を狙ってくるなら、僕もそれぐらいのタイムを狙っていきたい」 法大はもうひとりのエース佐藤敏也がメンバーから外れたため、5区青木で急上昇するしかない。どんな状況でも頼りになる男は、今回も山で順位を押し上げてくれるだろう。 5区は浦野、西田、青木の3強対決が有力だが、ヒーローはどこに潜んでいるかわからない。前回区間5位(1時間12分23秒)の伊東颯汰(駒大)、同8位(1時間12分52秒)の田中龍誠(東洋大)も区間上位候補。他にも気になる存在を挙げておこう。チーム内に2年連続で往路の優勝テープを切った田中がいるため、5区を走るかわからないが宮下隼人(東洋大)はおもしろい。山梨県富士吉田市出身で、子どもの頃から山に囲まれて育ってきた。本人は5区を熱望しており、関東インカレのハーフマラソンでは西田に先着して、日本人トップに輝いている。 吉田匠(早大)は前回5区の出場を予定していたが、12月24日に自転車を運転中に乗用車と接触して、左肋骨を骨折。欠場を余儀なくされた。吉田は青木と同じく3000m障害がメインで、5月の関東インカレでは3位に入っている。畝拓夢(中大)は1年時だった前々回の5区で区間10位。今回は区間上位が期待されている。双子の兄・歩夢(中央学大)も5区候補のひとりだ。鈴木聖人(明大)も上りに強く、楽しみな選手といえる。 令和の箱根駅伝にも「山の神」は降臨するのか。5区は気温や風がタイムに大きく影響する。魅力的なクライマーがそろっているだけに、気象コンディションに恵まれることを祈りたい。 (文責・酒井政人/スポーツライター)